「農民」記事データベース20000731-458-06

歯止めのない農産物輸入・価格暴落とどう戦うか

B.アメリカも中国も超低賃金の労働力で作った野菜を輸出


 アメリカはメキシコなど中南米の労働力で野菜を安く作って日本に輸出し、日本の大商社や量販店は、中国の安い賃金で作らせて開発輸入しています。

(1)中国野菜の生産コストは日本の八〜一〇%

 メキシコの労賃(ILO調査)はアメリカの八%、中国の労賃は日本の三%という具合です(表3)。そこの農業労働者や農民の労賃がさらに安いことは言うまでもありません(詳しくは、雑誌『農民』No.51参照)。

表3 日本へ野菜を輸出する国の労働者の賃金(97年)
メキシコ(1)
1.57ドル(時間給)
アメリカ(2)
19.09ドル(時間給)
(1)/(2)
8.2%
中  国(3)
9,955円(月給)
日  本(4)
321,000円(月給)
(3)/(4)
3.1%
(ILO・国際労働経済統計年鑑2000大蔵省公示・裁定外国為替相場)

 こういう低賃金の労働力を使って作るのですから、野菜の生産コストも、日本の八〜一〇%(表4)

 
表4 中国と日本の野菜生産コスト(10アールあたり)
 
ネ ギ
枝 豆
中 国(1)
55,400円
21,840円
日 本(2)
492,577円
262,867円
(1)/(2)
11%
8%
(野菜供給安定基金『ビーナスレポート』2000年4〜5月

 さらに、輸送コストも表5のように、中国国内から東京への運賃と、千葉や茨城から東京都心までの運賃が同じレベルです。中国ものが安く入荷するわけがここにあります。

 
表5 輸送コスト
中国国内運賃(安丘市〜青島市) 100元/トン(1.3円〜1.4円/kg)
輸出運賃(青島市〜東京) 8セント/kg(7〜10円/kg)

(2)輸入を基本にし、国内は端境期の補充用

 日本の大商社や量販店はこうして安いものをリレー式に輸入し、端境期を国産で埋める作戦すら立てています。

 尾崎亨氏(酪農学園大学)の研究によると、農水産物の中堅輸入商社・X社の取扱上位品目のオクラ、カボチャ、アスパラガスのうち、輸入アスパラガスが調達できない端境期=六〜七月には北海道ものを取り扱い、カボチャについては二〜四月、九〜十月に北海道産を取り扱っています(図3)。

 商社や輸入業者が国内農民にうまい話を持ちかけて取り込もうとしているのは、国内産野菜を輸入の補充に組み込むためにすぎないことは明らかです。

(3)中国国内のリレーによる周年出荷で、対日輸出をもくろむ日本企業

 図4は中国各産地の枝豆収穫期の違いです(野菜供給安定基金「ビーナス情報」四月号)。この収穫期のズレを利用して周年的に対日輸出しようというのです。

(新聞「農民」2000.7.24・31付)
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