「農民」記事データベース20000731-458-05

歯止めのない農産物輸入・価格暴落とどう戦うか

A.米も青果物も底知れない暴落


 米がこの数年間に一俵五千円〜六千円も値下がりしてしまいました。暴落したのは「豊作のためだ」「米の消費が減ったからだ」と宣伝され、そう思い込んでいる人が少なくありません。しかし、米の暴落は(1)コメ輸入自由化、(2)自主流通米の値幅制限を撤廃し、暴落の歯止めをなくしたことなどに原因があります。

(1)野菜の暴落の主な原因は輸入

 関東ではレタス一箱(十キロ)二百円(一玉二十円)。京都でも白菜一箱(十五キロ)百五十円、一玉二十円にまで暴落しました。

 しかも築地市場のある卸売会社の調べによると、春の入荷は昨年より減っているにもかかわらず、価格は上がらず、ほとんどのものが安値です(表1)

 
表1 市場入荷減でも輸入激増で大暴落
品 名
市場取扱(2000年4月)
輸 入 量
数量
(トン)
単価
(円/kg)
前年比
2000年
1〜4月
前年比
99/92
数量%
単価%
アスパラガス
132
665
157
77
11,394
111
132
ね ぎ
233
195
98
49
9,197
144
526
トマト
603
272
98
83
6,482
276
1,087
タマネギ
852
77
92
96
116,621
201
636
(市場取扱はT社資料から、輸入量 は大蔵省『日本貿易月評』から)

 その原因は、国内生産が不足しなくても野菜の輸入が激増しているからです。野菜の世界では供給が二割〜四割増えただけでも暴落するというのに、数年前に比べて野菜の輸入が三・五倍にもなっているのですから暴落するのは当然です。

 表2は、今年六月中旬の東京都中央卸売市場における野菜の“産地”別 入荷数量ですが、生シイタケは輸入ものが国内産をおさえて一位、カボチャ・サヤエンドウは二位 という状況です。野菜の底なしの安値の背景には、こういう事情があります。

 
表2 輸入野菜が幅きかす卸売市場
品 名
国 名 (産地別の順位)
数量(トン)
前年比(%)
ピーマン
オランダ     (第4位)
25
116
タマネギ
ニュージーランド (第6位)
164
362
生椎茸
中 国      (第1位)
42
352
カボチャ
ニュージーランド (第2位)
170
489
 〃
メキシコ     (第5位)
94
207
さやえんどう
中 国      (第2位)
55
105
ニンジン
ニュージーランド (第4位)
36
80
長ねぎ
中 国      (第3位)
122
627

(2)アメリカと中国の輸入が激増

 生鮮野菜の輸入が新たな段階に入ったことは明らかです。(図1)野菜の主な輸入先はアメリカと中国です。図2が示すように、中国からの輸入が激増しアメリカからの輸入と肩を並べているのが近年の一大特徴。

(新聞「農民」2000.7.24・31付)
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