国際シンポジウムパネリスト五氏の報告(大要) [3/5]
韓国の農業の現状とWTO反対の運動韓国・全国農民会総聯盟 劉相郁氏私たち農民総聯盟は、全国九十五の市・郡に、二十万人の会員を抱え、若干過激といいますか(会場に笑い)、闘争を中心とした組織です。昨年一年間だけでも二百人が連行され、私を含めて四人が逮捕されました。鄭議長や私は、牢獄に入ることは朝飯前です(会場に笑い)。 輸入増で悪化一途の農業経済・貧困化さて、韓国の農業人口は九三年以降、ウルグアイ・ラウンドをはさんで百万人近く減少し、後継者不足で高齢化が進行しています。また女性の割合が高く、これはこれからも続くでしょう。毎年、二十八万九千ヘクタールの農地が減少しています。 農家の経済は、悪化の一途をたどっています。農家の所得を補償する制度がとられないまま輸入自由化政策がとられ、輸入により農畜産物の価格破壊が起こりました。こうした状況のなかで、約四〇%の農家が生活費も捻出できず貧困化しています。また通 過危機に端を発したIMF管理体制のもとで、約七〇%の農家が負債に苦しみ、生きる意欲や希望を失ったまま毎日を送っています。 ウルグアイ・ラウンド以降、輸入農産物が氾濫するなかで作目の幅が狭まり生産基盤が崩壊、農家所得がさらに下がり、負債が急増するという悪循環が起きています。自給率も米以外の全品目で低下しています。 WTO交渉開始以降危機は一層深刻にまた、無分別な輸入で価格不安定のサイクルが短縮化、拡大され、作目によっては過剰と暴落が続いています。鶏肉の輸入が増加し、鶏卵、みかんの価格も暴落、さらに畑作が果 樹等へ切り替えられるなど、作物体系自体が急速に崩壊しつつあります。WTOの交渉が始まって以降、農業危機はさらに深刻になっています。 私たちは、WTOは先進諸国、なかでもアメリカの合法的な富の独占のための機構である、と認識しております。WTOは、表向きは差別 のない貿易、より自由な貿易などを原則としていますが、私たちはこれを信用せず、反対する立場をとっています。WTOの中心的な目標は、アメリカを中心とする先進国が貿易を通 じて合法的に世界の富を独占することであり、第三世界の民衆を抑圧し、搾取し、収奪することです。 国際連帯の力でWTOを沈没させよう次は、韓国でWTO反対闘争がどのように行われているかということですが、韓国には「投資協定・WTO反対国民行動」という連帯組織があります。ここには農業団体や労働団体などさまざまな団体が加盟し、さまざまなワークショップやセミナーなどを随時開催しています。本当は活動内容を詳しくお話したいところですが、シンポでは話している人よりも、聞いている人の方が数倍長く感じますので(会場大爆笑)、短く要点だけにします。 強調したいのは、国際連帯です。「井の中の蛙」にならずに、世界中の農民と力をあわせてこのWTOを是が非でも沈没させるためには、どうしても国際連帯が必要です。 韓国の農業は、WTO交渉で先進国なみの関税引き下げが迫られ、輸入農産物が国内市場に出回れば、それこそ悲惨な、惨譫たる崩壊を迎えるしかないと思います。まさに運命をかけて勝負をかけるしかない現実です。WTOなど新自由主義政策、世界化のなかで、韓国農業はこのうえない痛みを味わっています。 日本の農民、農民団体のみなさん、世界の農民、また進歩的な団体とも力を合わせて、必ずや勝利を納めたいと思います。
(新聞「農民」2000.3.6付)
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[2000年3月]
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