ふるさとのお正月料理広 島瀬戸内の魚と野菜を使ってわが家流に…
今は全国的におせち料理も画一化されていて、北海道から沖縄まで、数々の素材、珍味が手に入り、和洋中華折衷の物が、わが瀬戸内・福山方面でも同じである。 その中で、取り立てて瀬戸内の…、と言われると昔のわが家流、すなわち原風景としての食を思い出し、今も細々と続いているおせち料理の数種を紹介するに限られてしまう。 瀬戸内の小島の点々とする黄、緑、青とくっきりと色分けのできるような遠浅の海の美しさは今は無い。小魚や鯛、タコ、カニ、あなご、シャコ……数えきれない海産物に恵まれていた正月料理は、決して珍味や特別な素材ではなく、近隣で手に入れることのできる海産物と里の野菜を使う。 行く年の労をねぎらい、来る年の無事を祈る。主婦の三が日の労を無くすなどの思いを込めて、手間暇かけて作るご馳走であった。
〔野菜料理〕くろまめ まめ(元気)に育ち、まめに暮らせる縁起物として必ず作る。昔は練炭大鉢に火を起こし、二日がかりで煮含めたものだ。甘く、しんなりと…。わが家流は、カツという意味でカチ栗を一緒に煮含めるもので、千切りショウガがポツポツと中に入って風味良いものである。くわい 芽が出る。これも縁起物。福山特産で今も全国に出荷しているが、小さめの物をじっくりと煮含める。正月料理には欠かせないものである。 れんこん かつては一面のハスの葉畑だったのに、今はまったく見なくなった。福山のものはやわらかくもっちりとして糸をひくおいしいものであった。見通しがきく、というこれも正月には必ず取り入れられる。 金時人参 正月にはやはり真っ赤な金時人参である。今のオレンジ色の洋ニンジンではなく、煮〆めに彩りとして添えられる。
〔魚料理〕あなごの照り焼き酢かき かきは広島名産であるが、海が汚された今は収穫が少ない。わが家流は、白みそと酢を同量に合わせたものに、新鮮なカキを和える漁師風である。 カニのゆでたもの 瀬戸内はワタリガニ、イシガニが豊富であったが、今でも少しは出廻っている。 エビじゃこの串焼き 瀬戸内の赤エビの大きめのものを五匹くらい刺し、照り焼きにする。 干しタラの煮付 なぜか年末になると干しタラを売る店が並ぶ。三日くらい塩出しをして、三センチくらいに切って、これも甘辛く煮漬ける。(以下次号)
(福山食健連 坂本久江/新聞「農民」2000.1.3/10付)
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