「農民」記事データベース20000110-433-03

米国でも離農が続出

今世紀最悪の事態に

関連/小規模農業 日本に学びたい


 ハンセン いま、農家の経営の状況は、大恐慌の時代を含めて今世紀最悪だといわれています。トウモロコシの価格は一九五〇年当時と同じか、それを下回っています。アメリカ政府は「農業の成功」について語りたがりますが、その背後で数千の農家が離農を余儀なくされていることについては口にしません。ネブラスカ州では昨年八人が自殺しました。生命保険を目的に、わざと農作業事故を起こした人たちもいます。

 日本側一同 ええっ!

農家の実収入は減少する一方

 ハンセン 農外への就労が進み、妻は長時間農業に従事しなければならず、夫は農業以外の仕事につかなければならないということで、離婚が疫病のように広がり、家庭内暴力も増えて家庭崩壊が起きています。

 アメリカの食糧生産はどんどん少数の企業の手に集中し、支配されています。

 真嶋 カーギルやコナグラですか?

 ハンセン そう、カーギル、コナグラ、ADM、コンチネンタル・グレイン、IBPなどです。この四年間のうち、アメリカの消費支出に占める農民の取り分割合は二四・九%から二〇・九に落ちました。このような大穀物会社は、輸出・輸入の両方をにぎっているわけです。

 高橋 私は家族三人で三ヘクタールの畑で野菜を作り、二十年間、消費者と手をつないで、安全なものを届ける努力をしてきました。わが家の経営は、日本の野菜農家としては面積が大きい方ですが、経営はたいへんきびしく、娘に給料を払えない状態です。WTOのもとで、安い野菜がどんどん輸入されているからです。

 日本農業の担い手の六割は女性ですが、WTOは女性の経済的地位の向上にとって、非常に邪魔ものだと思います。


小規模農業 日本に学びたい

「遺伝子…」反対運動はよい模範

 リッパート 四年前、日本にいき、非常に美しい国だと思いました。とても印象深く思ったのは、小規模な家族農家がいろんなところで食べ物を作っているということでした。日本の農業の歴史、持続的な農業のやり方、そして人々に健康な食物を供給するというやり方など、私たちが学ぶべきものがいっぱいあるはずだと思いました。

 しかし、WTOがあるかぎり、それは果たせません。

 ですから、私たちは、このように腰を落ち着けて話し合い、学びあって、WTOのやり方ではなく、私たちがやりたいと思っている農業を進める方法を探さなければならないと思います。

 グッドマン 私は日本の農業のことをよく知らないんですが、日本のみなさん方は遺伝子組み換え作物・種子に反対する運動で、とてもよい模範を示してくれました。これによって、アメリカ国内の農民たちも、自分たちがやっていることは、もしかして間違っているんではないかと考えさせられるわけです。

 村尻 遺伝子組み換え食品問題では、農民連が先鞭をつけ、この九月からは、農民連が独自に遺伝子組み換え食品を分析する装置を導入したんですよ。

 石井 私は消費者として来たんですけど、生産者と一緒に、安全で良質な食糧の自給と供給をめざして、学習や実践活動を行い、顔の見える産直を発展させています。これからも一生懸命持続可能な農業を支えながら、消費者の仲間を増やし、政府に対してはWTOから農業をはずせの行動で頑張りたいと思います。

(新聞「農民」2000.1.3/10付)
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