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北海道・東北ワイド特集(6)

福 島


見事な大豆畑に

福島市西部の桑畑跡/トラクターをフル稼働

 福島市の西部、吾妻・安達太郎連峰の眺望がすばらしい荒井地区に見事な大豆畑ができあがり、地域のなかで話題になっています。この大豆畑は、フルーツ産直を行っている県北農民連の仲間が「大豆の会」の結成に呼応して、共同作業で取り組んだものです。

 県北地方は、果物生産では全国有数の産地。南と北の果物が両方とも栽培できます。この特性を生かしたフルーツセット産直が人気を呼び、期待が広がっています。
 しかし、県北地方は、果物生産に特化し、他の生産物が少ないのです。このため県北農民連の仲間が、大豆やナタネ、麦などを栽培し、加工の研究も行い、幅広い産直を進めようと話し合ってきました。

 一方で、減反や養蚕、コンニャクの衰退などによって耕作放棄地は福島県は全国一です。こうしたなかで、立地の良い桑畑の跡地一ヘクタールを地主さんの好意で借りました。
 さっそくみんなでトラクターを持ち寄り、共同作業を開始。あっという間に種まきを終え、あとは芽が出るのを待ちました。しかし、芽が三分の一しか出ず、惨たんたる状況でした。

 大豆を専門に作っている永山乃里江さん(新聞「農民」九八年一月五・十二日合併号に掲載)に見てもらったところ、深まきが原因とのこと。思い切って全面まき直しとなりました。なにせ場所がよく、人目につくところであり、格好がつかないのでトラクター二台をフル稼働させ、十時間でやりとげました。

 ところが、いま大きな問題にぶつかっています。補助事業を活用してコンバインを導入するつもりでいましたが、数年前に比べ価格が倍以上。政治の場でも取り上げてもらうことになっています。こんな問題を抱えながらも、荒れ地をなくし、生産を高める運動を意気高く進めています。

(福島県連 佐々木健三)


来年へ向け栽培技術向上を

サクランボの収穫を終えて

 柔らかくておいしいと、近年評判の高い「ブルームきゅうり」の作付けを増やしている須賀川農民連。
 今、食卓に上がっているのは、ほとんどが見栄えのいい“ピカピカ”で真っすぐの「ブルームレスきゅうり」。でも皮が堅く味が薄い。消費者から、きゅうり本来の味を求める声が広がり、埼玉県の生協への出荷の多くをブルームに切り換えています。味のちがいは歴然。消費者からは「うまい」「昔のきゅうりの味がする」「やっぱり歯触りがちがう」と大好評です。
 育て方、収量、期間などはほとんど差はありませんが、ブルームレスは、上根のため水管理などで苦労しますが、ブルームは根が深く肥料の吸収もいいので、少ない肥料で済むなどの利点があります。
 もともと「岩瀬きゅうり」の産地として有名な土地柄でもあり、須賀川農民連のきゅうり生産者は二十四人。うち八人が今年から全部ブルームに切り換えました。
(福島県連・森谷精)


軽トラ連ね田回りコンボイ

浜通り“稲の生育具合どうか?”

 六月十九日、福島県浜通りで、十五台の軽トラックが連なって走りました。会員一人ひとりの田んぼを回り、稲姿を見て、葉色をはかり、分けつ本数を数え、これからの生育の対策を考える。浜通り恒例の通称「田回りコンボイ」です。

 今年は五月から六月の半ばまでは真夏を思わせるような好天。土中還元した稲藁の分解も、有機質肥料の分解も早く、稲の生育もずいぶんと進みました。この時期に、風通しの悪い密植のジャングルのような田んぼを作った会員さんは産直一年生。「こんなに“扶養家族”増やして、どうすんの」「これじゃ病気になりやすいし、あとになれば稲葉がとけて流れっぺ」。反対に、すぐ横にある産直歴の長い人の田んぼでは、稲葉は直立して、茎もがっちりと太く固い。素手で触れば「切れる」ような感触。みんなは「これからが楽しみだな、一株本数も二十本ちょっと、ちょうど良い」

 くだんの人は「なぜ?」と考え方(技術)の違いに戸惑い気味。そこで「一坪当たりで穂が出て実のなる本数は決まっているのだから、分けつ本数をできるだけ合わせるように…」「もともと株数も植え付け本数も多すぎる」「そのために窒素を抑えて」「それには有機肥料だ」「燐酸を効かせて」などと経験を踏まえて、考え方のちがいをみんなが説明。

 六十七歳でトラクターを新調、「あと十年はやる」という会員さんは、「新婦人のおかあちゃんたちの顔を思い出すと、納得のいく米を作りたい」と話します。そのために田回りのときだけでなく、苗作り、施肥設計も、会員同士で何でも「おせえっこ(教え合い)」をします。「農協の栽培暦のとおり何も考えずに作ってた時は、田んぼに出るのも嫌だった。それにくらべ農民連の稲作りはみんなにいろいろ教えてもらいながら、自分で考えてやれる。会社の行き帰りに毎日、稲姿を見るのが楽しい」と三十代の会員は話します。

(浜通り農業を守る会・中井信也)

(新聞「農民」1999.8.2付)
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