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北海道・東北ワイド特集(1)

北海道


“おいしい! 国産100%の味だ”

オホーツク小麦で作ったパン

小清水産直センターが商品化

 「国産小麦はパンに向かない」と言われるなか、昨春からとりくんできた試み「オホーツクの小麦でパンを作ろう」が、原料生産=小清水産直センター、加工=大西パン、販売=フレックス(食品小売店)の共同で昨年十一月にデビューしました。

 これを実現するうえで一番問題になったのは製粉です。原料の量が少なすぎて製粉できない、粉にならなきゃパンはできない、あきらめかけていたところに登場した案が、なんと「石臼」。製粉業者(江別製粉)で石臼を新規導入し小口ットでも引き受けてくれるとのこと。あきらめなきゃなんとかなるもんですね。

 ただし、石臼製粉はフスマが少し残ります。これが食味にどう影響するか、と心配は尽きない。ところが、フスマを多めに練りこんで試作したクッキーが女子高生に大人気! パンも風味があってなかなか好評。意外だなあ。
 そんなこんなで町の給食に一度使ってくれることに。子どもたちはどんな反応をするのだろうと、お昼すぎに学校に電話。「どうでした?」「物足りないという子もいましたが、けっこうみんな喜んで食べていました。子どもよりも先生方にはずいぶんと好評でしたよ」ということで一安心です。

 このパンに使われる小麦は、ハルユタカという春まきの小麦です。収穫時期に雨が多く、穂発芽の可能性が高いので農家は作りたがりません。この企画が失敗したら、きっと消えていた品種です。
 ところが、「私たちの原料はちゃんと製品になる」という自信が芽生え、「来年も再来年も作りたいんだ」という生産者が出始め、「これは面白くなってきたぜ」と思っています。

 商品紹介のパンフレットがありますので、TEL0152-62-3306(小清水産直センター)に連絡してくれれば送ります。

(坂本清一)


外国産小麦にない香りと甘味

製造担当する大西パンのコメント

 北海道オホーツク地方、自分たちが子どものころから目にしている小麦でパンができないだろうかといつも思ってきました。
 パンは直接健康に関わる商品です。食本来の論理とは、味覚と安全性です。輸入農産物には、国産農産物への使用を禁止している農薬が許されているとか、ポストハーベスト問題など常に不安を感じていました。

 昨年、小清水産直センターを通じてハルユタカを手に入れ、江別製粉で粉に。手で握り、香りをかいで、口一杯に広がる甘い感触。自家製の天然酵母で生地を仕込み醗酵させて二十四時間、焼きに入りました。
 オーブンの中で少しずつ大きくなり、二十五分過ぎから香りが漂ってきます。従来の外国産小麦にはない香りです。オーブンから取り出しパンをたたいて音を聞き、香りをかいで口に含むと満足感がこみ上げてきました。心地よい甘さ、個性的な香り、品のある形。

 農家のみなさん、これからも良質な小麦をたくさん作ってください。

(新聞「農民」1999.8.2付)
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