関東ブロックワイド版(4)
人気呼ぶ完熟、朝どり…
トマト作り50年、お客ワンサ/東京・杉並の田中正直さん
東京・山の手の閑静な住宅地のど真ん中。杉並区下井草でトマト栽培五十年の田中正直さん(72)の畑では、いま朝どりの完熟トマトが人気を呼んで、三千本植えられたトマト「甘太郎」は、色づく片っぱしから飛ぶような売れゆき。
先ごろ朝日新聞にカラー写真入りで紹介されたこともあって連日、都内各地や三多摩方面からも畑に買いにやってくるお客さんで、田中さん一家は早朝四時から収穫、八時からの売り出しでテンテコ舞い。
田中さんは、住宅地に囲まれた二カ所の畑三十アールにトマトを主体にキュウリ、ナスを栽培。すでに二十年近くにわたってトマトの露地での多収穫栽培に挑戦。これまで一株当たりの収量は、九四年が十二キロで最高。九五年七・九キロ、九六年八キロ、九七年九・八キロと、驚異的な収量です(いずれも品種甘太郎)。
田中さんは、都会の限られた畑でのトマト栽培のため、連作障害が大きな問題で、これを克服するための土壌消毒をせずボカシ肥使用、不耕作栽培なども研究。またトマトの味を良くするソイルライフ(有機堆肥)多用などに取り組む研究熱心で、現在、農の会副会長をつとめています。
農の会では六月十九日、田中さんのトマト畑を見学し、試食会を行いました。二メートル以上に伸びたトマトには、七〜八段までびっしりと実をつけています。「今年は雨が少なかったため実は小さいが、甘味が強い」とのこと。この日の試食会では、完熟トマトが売り切れ、十分な試食ができなかったのが残念でした。
(塚平)
地元の醤油工場を見学
関東ブロック会員ら/「農民連ブランド作りたい」
農民連の埼玉、栃木、茨城、千葉の各県連の会員三十人は六月十四日、「遺伝子組み換えしていない大豆を使用して農民連ブランドの醤油が作れないか」と、埼玉県妻沼町の金丸星醤油を訪ねました。秋池常務と川口課長が応対してくれました。
秋池常務は「みなさんが日本農業を守るために大豆畑トラストに取り組んでいることは大変すばらしい。会社としてできるだけの協力をしたい」とあいさつ。
参加者は三千坪の広さの醤油工場を見学。工場の中に一歩入ると、プーンとした香りと麹の匂いが入り混じり、なんともいえない気分になりました。水に一晩漬けた大豆をふかす大釜、茹であがった大豆を粉砕し、塩とまぜる工程、麹づくりや、木に樽で一年以上かけて熟成させる貯蔵庫、火入れしてビンに詰める作業などを見学しました。
見学の後、事務所で醤油作りの苦労話や、ピンからキリまである作り方の説明を聞き次のようなことがわかりました。
(1)大手の「安い」醤油は、その大半が輸入脱脂大豆(国産大豆の十分の一の値段)を使用している、(2)「丸大豆使用」の表示も、その多くが粉砕されている原料である、(3)産直醤油の大豆は、遺伝子組み換えの心配のない国産大豆が使用されている――など。
(埼玉県連 松本慎一)
産業投棄の現場を見学
千葉・女性部「あらぐさ」
毎年恒例となっている千葉農民連女性部「あらぐさ」のつどいが五月二十七日に行われました。
今回は海上町の阿部さんの案内で、ゴミ焼却場と産業廃棄物の不法投棄の現場を見学し、その後、海上町の最終処分場建設反対運動の話を聞きました。
ゴミ焼却場の煙突からは、大風にあおられた煙が真横になびいていました。すぐそばには豚舎や畑が広がっている農村地域です。産業廃棄物の不法投棄現場は、うず高くゴミが積み上げられ、まわりの木が枯れ、異臭がただよっていて、気分が悪くなってしまいました。
海上町を含む東総台地は山林や谷津田が多く、産廃業者の処分場としての格好の場所になっているそうです。
海上町の産廃最終処分場の反対運動は、町ぐるみの運動に盛り上がりました。そのなかでも、女性たちが大きな力を発揮しました。空気、土、水がこれ以上汚れるのに待ったをかけ、健康で住み続けられる町を願っての運動だったのでしょう。
(「あらぐさ」 飯島和子)
「リンゴの木オーナー制度を」
東京・東久留米の新婦人、長野の産地訪れ交流
新婦人の東京都東久留米支部は、長野県農民連の信州北部農民組合豊野支部と「リンゴの木のオーナー制度」に取り組み始めています。
これは、昨年の台風で大きな被害を受けた長野県の風落リンゴを取り扱った新婦人東久留米支部の会員が「毎日でも食べたい。自分たちでリンゴを作ってみたい」と話し合い、長野県連に相談し実現したものです。
東久留米支部の会員十人は五月八日に豊野町を訪れ、農民連会員と交流し、説明を受けました。
農民連会員は、リンゴの花をつみながら、作り方を説明しました。新婦人の会員から「一つのリンゴに冬の剪定作業も入れると、人の手が三十回もかかるの」などと話されました。農民連会員は「手間がかかる割に手数料にもならないのが、最近の農産物価格」などと農家の実態を説明しました。
(長野県連 菊地信行)
山村に似合わぬヘンなもの
山梨税金むだ使いのループ橋
南アルプスの麓、山梨県白根町の西はずれ。農民連会員の豚舎の上にそびえ、山村には似合わないヘンなものがあります。
「血税タレ流し」施設として週刊誌でも取り上げられたループ橋。総工費十億円で作られましたが、利用するあてもないまま。登り口もなく、出口もない、本当に「異物」と言わざるをえない橋です。養豚経営をしている伊東さんに聞くと、「景観にも悪いし、今後の計画もはっきりしていないらしい」と言います。
調べてみると、農業予算で作った代物。しかし、この山の上には農地はありません。
山梨県政は、九七年度公共事業費が全国一で、くらしに冷たい一方、一部の大手業者には温かい「ハコ物」土木偏重の県政です。県の農業予算のうち、普通建設費の占める割合は、九二年から八〇%を超え、九五年からは八五%と茨城と比較しても二〇%近く高く、農業をないがしろにする予算が組まれています。
(山梨県連 津久井 裕)
(新聞「農民」1999.7.5付)
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