「農民」記事データベース20230918-1569-01

新潟など日本海側

猛暑・干ばつ
農業に大打撃

農民連 長谷川会長ら現地調査


水稲・大豆枯死
水田に塩害

 北陸や東北地方の日本海側を中心に、7月中旬以降の降水量が少なく、農作物に大きな影響を及ぼしています。

 新潟県では7月17日以降にまとまった降雨がなく、川の水量減少に伴う塩水遡上による塩害や、水不足で作物が枯れるなど被害が出ています。9月3日に、農民連本部と農民連ふるさとネットワークは合同で現地調査を行いました。新潟県農民連の鈴木亮事務局長と農民連本部の長谷川敏郎会長、藤原麻子事務局長、ふるさとネットの渡辺満広事務局次長らが参加しました。

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出所 気象庁

 乾いた風が吹き作物枯れあがる

 阿賀野川の上流域にある阿賀野市の旧笹神村を県連幹事の稲毛明さんと訪問しました。田んぼの中でも取水口から遠くの稲が枯れています。「8月5日以降、『だしの風(台風並みの南東の風)』が吹き、約20日ほど吹き続けました。水を入れたのですが、水量が足りず、一気に枯れあがってしまいました」と稲毛さんは話します。

 上越市や十日町市のように大きなひび割れなどはありませんでしたが、稲穂が枯れたり、葉が枯れて登熟が止まったりと米の生育に大きな影響が出ています。「田んぼにポンプで水をくもうとすると一日でガソリンが10リットルほど必要になります。せめてその燃料代だけでも支援してほしい」

 米以外にも被害が発生しています。稲毛さんの畑では転作して作付けした大豆が枯れていました。肥料の持ちがいい土だったはずなのに、乾燥で砂のようになっていました。「田んぼの転作なので水を入れることはできましたが、水不足で米すら大変な時に、大豆に水を入れることはできませんでした」

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枯れた大豆を見る長谷川会長

 議会の答弁を踏まえて市に更なる支援要請を検討中です※1

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田にはひび割れも

 川の塩水遡上で米に塩害発生か

 水不足の影響はほかにもあります。新潟市北区の、阿賀野川の河口から10キロメートル離れた河川敷では、塩害で稲が枯れてしまった田んぼが広がっていました。

 阿賀野川で雨不足による水量減少により海水が川の水の下に潜り込む塩水遡上(そじょう)を起こしたことが原因とみられています。新潟県連の曽我浩副会長は「この辺りの水深は4メートルあるが、下2メートルに海水が入り込み、海水部分をポンプでくみ上げてしまい、塩害が発生したのではないか。土壌の電気伝導度がまだ通常の倍ぐらい、水路の水も1・5倍ある」と指摘。「ポンプの深度の改修など対策の要望を被害農家から聞き取り、国に要望する必要がある」と話します。

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塩害の地域を調査する参加者

 農水省に対し支援求め要請

 農水省は干ばつ被害を災害扱いせず、共済と収入保険での対応しかありません。新潟県はかん水経費の補助やひび割れた農地の復旧といった支援を行っています。

 農民連は9月8日の農水省に対する緊急要請で、深刻な干ばつを災害とすることや、県の対策への財政支援、次期作支援などの実施を求めました。新潟県連の鈴木事務局長も「県の調査で、干ばつ被害は水稲だけで700ヘクタール、麦も含めると1180ヘクタールと、広範囲で深刻だ。国の支援を」と訴えました。


おわび 9月25日号にて、以下の訂正がありました。
 9月18日付「農民」の1面、「猛暑・干ばつ 農業に大打撃」の記事で下から2段目の18行目「JAの合併により集荷説明会での被害把握も行われておらず、」の部分を削除します※1。おわびして訂正します。
 2023年10月2日、訂正しました。

(新聞「農民」2023.9.18付)
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2023年9月

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