「農民」記事データベース20221205-1532-03

ストップ! 押しつけ輸入米
(ミニマム・アクセス米)
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国民に不必要、国内米生産の邪魔、税金ムダづかい

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主食用にも加工用にも
MA米の行き場なし

8割が2万円/トンで飼料用に

 農水省は外米を使用してもらうために、幹部を先頭にサンプルをもって米菓・みそ・しょうゆ・焼酎業界などへ「営業」に回り、国内産の「特定米穀」並み価格、少量の注文にも応じ、運送費は政府負担という破格のサービスで外米の需要を作り出そうとしてきました。

 このような「努力」にも関わらず、過去には加工用に30万トン近くを販売していましたが、国内産米価を下落させ続ける米政策により、現在の外米需要は10万トンを切るじり貧状態で、今後とも増える要素は見当たりません。

 しかも、MA米価格上昇を反映して、販売価格は、22年4月〜6月分は1キロ177円に引き上げられました。昨年までの価格に比べ50円、1・5倍もの大幅値上げであり、国産砕米55〜60円や、米菓用原料白米100〜105円などと比較してもべらぼうな価格となっています。

 低米価押しつけの政策は外米需要をさらに縮小させる結果とならざるを得ません。

 米加工品業界もコロナ禍での需要減少に加え、政府が力を入れる「輸出促進」に乗るためには原料は外米でなく、国産米を利用する動きも始まっています。


MA米輸入は
途方もない税金のムダ使い

 主食用にも加工用にも行きどころなしの結果、MA米の需要先は飼料用米しかなく、現状でも輸入量77万トンのうち80%以上がトン当たり2万円で飼料用に販売されています((4))。

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 9月16日のMA米入札の加重落札価格は12万円です。飼料用として50万トン販売されれば、売買差損だけで500億円の大赤字になります。仮に25万円のアメリカ産米を飼料用に30万トン販売すれば、それだけで赤字700億円にもなります。

 MA米は保管・運送経費、カビの処理経費、売買差損などに毎年300億円以上も赤字を垂れ流してきました((5))。

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 21年度の一般MA米の買入総額は約800億円で、過去最高になりました。

 高騰しているMA米を漫然と輸入し続ければ、赤字はさらに膨らみます。

 アメリカのために、莫大な赤字を垂れ流すことは絶対にやめさせなければなりません。


「国際約束」は真っ赤なウソ

MA米ストップ、国内産増産を

 10月27日の衆議院農林水産委員会で日本共産党の田村貴昭衆院議員は、肥料高騰対策の全額補助を求めるとともに、MA米をめぐる矛盾を突きつけました。「毎年、計ったようにアメリカから36万トン前後輸入している」「国内では飼料用米が余っていると水田活用交付金を削減し、一方で巨額の税金をつぎ込みアメリカから米を輸入し飼料用に回している。矛盾ではないか」と追及しました。

 農水省は、アメリカからの定量輸入は条約上の「義務ではない」と答えたものの、野村哲郎農水相は「国際ルールは守らなければいけない」といまだにごまかし答弁を行っています。

 そもそもミニマム・アクセス=「輸入機会」などというのは「国際ルール」ではなく、「この水準までは輸入してもいいよ」というものにすぎません。

 日本政府が勝手に「米は国家貿易品目だから、輸入義務だ」と解釈しているだけです。

 政府が決断すれば、全量輸入しなくても問題はありません。

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米価を心配しながら稲刈りを終えました(石川県白山市)

 国内需給の安定、国民負担軽減のためにもMA米輸入ストップは緊急の課題です。

 「密約」で高額なアメリカ産を輸入し続け、アメリカのためなら赤字を垂れ流しても平気な政治はもうごめんです。

 異常な食料・農業政策をただし、農家と国民の共同を強め、MA米輸入ストップ、国内産増産、食料自給率向上へ農政の抜本的転換をめざしましょう。

(新聞「農民」2022.12.5付)
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2022年12月

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