「農民」記事データベース20220711-1512-01

参議院選挙
武器より食料を、国民生活を

関連/役員・専従者研修会開催のお知らせ


 参議院選挙では、ウクライナ危機に便乗して防衛予算を倍増し、危険な戦争への道を進むのか、憲法9条にもとづく平和の外交を進めるのかが問われています。

 自民党などは「今の防衛予算では日本を守れない。5年以内にヨーロッパ並みのGDP(国内総生産)比2%に倍増させなければならない」と大騒ぎしています。一方、財源をどう確保するのかについては口を閉じたまま。

 ここには大問題が2つあります。

 すでに世界7位、倍増すれば3位

 日本の防衛費が異常に少ないかのように宣伝されていますが、財務省が4月20日に財政制度等審議会の部会に提出した資料では、防衛費増加の問題点を列挙しています。

 財務省は、NATO(北大西洋条約機構)定義を参考にして恩給費や海上保安庁予算を含めると、日本の防衛予算は614億ドル(6・9兆円、GDP比1・24%)になると計算しています。

 フランス(571億ドル)を上回り、世界7位です。GDP比2%に引き上げれば990億ドルで、ロシアをも上回り、3位になります((1))。

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 防衛費5兆円増の危険、 悲惨な生活苦

 防衛費倍増には約5〜6兆円もの財源が必要です。こんな巨額の財源をどう確保するのか、岸田政権は口を閉ざしたままです。茂木自民党幹事長は「消費税減税は財源セットで言ってもらわないと非現実的で無責任」と野党を攻撃していますが、よくもこんなことが言えたものです。

 しかし、選挙が終われば消費税大増税か、福祉や農業など国民向け予算に大ナタをふるうか、「戦時国債」の発行か――どの道へ進んでも、国民の暮らしを破壊する亡国政治です。

 週刊誌『女性自身』は(2)の図を掲載して防衛費5兆円増の危険と、悲惨な生活苦の未来を警告しています。

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 財務省も、2014年度に4兆8848億円だった軍事費が、22年度には5兆4005億円と、9年間で5157億円も増えたことを指摘し、「防衛関係予算の手厚い増額は、他の経費の削減・効率化を実施することで実現した」としています。削減されたのは、食料安定供給関係費、中小企業対策費、エネルギー対策費などで、3000億円以上です。

 中でも、最も攻撃が集中しているのは、転作の支えになってきた水田活用交付金のカットです。日本の食料自給率は37%。国連が「第2次世界大戦後、最悪の食料危機」だと警鐘をならしている今、自給率をさらに引き下げる政治を許すわけにはいきません。

 借金で防衛費 生活ぶち壊し

 安倍元首相や日本維新の会は、借金(国債)の発行で軍拡財源をまかなえと主張しています。

 これに対し、財務省は、第2次世界大戦中にGDPの2倍を超える借金をし、戦後直後に消費者物価指数が240倍にはね上がる超インフレを引き起こしたことを紹介。「歯止めなき公債発行は、国民資産の毀損(きそん)を引き起こした」と指摘しています。

 その上で現在の日本で、借金で防衛費をまかない続けると、「結果的にそれ自体が我が国の脆弱(ぜいじゃく)性になりかねない」と警告しています。

 武器より食料を守り、国民生活を守る政治の実現こそが求められています。


役員・専従者研修会開催のお知らせ
日程 8月8日(月)午後1時半〜9日(火)正午(予定)
会場 JAグループ茨城教育センター(茨城県水戸市下国井町2201−1)
対象 都道府県連・単組・加盟団体役員および専従者
参加費 現地全日程参加 1万円(資料代、宿泊費、夕食・朝食費込み)
    オンライン参加 1500円(資料代)
参加申し込み締め切り
    7月20日(水)までに農民連本部まで
     ※オンライン参加も申し込みが必要です


【訂正】 7月18日号にて、以下の訂正がありました。
 7月11日付1面「武器より食料を、国民生活を」の記事中、5段目の「また、直近の為替レートで計算すれば、防衛予算は現状で8・3兆円、GDP比2%で13・3兆円にもなります」の文章を削除します。
 2022年7月25日、訂正しました。

(新聞「農民」2022.7.11付)
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2022年7月

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