「農民」記事データベース20220207-1491-02

岩手・千厩

現場から戸惑いと怒りの声

改悪されれば
5法人で1500万円の赤字

関連/水田活用直接交付金の改悪やめよ
  /現場から戸惑いと怒りの声


農家も農業法人も立ち行かなくなる

 「水田活用直接支払交付金」見直し問題は、牧草をはじめとした転作にとりくんできた岩手県内の生産現場でも、突然の決定に戸惑いと怒りの声が広がっています。

 「10アールあたり借地料1万円・改良区の賦課金2000円、あわせて1万2100円の経費が最低でもかかってるのに、補助金1万円でやれなんてとんでもない」

 一関市千厩(せんまや)町で70ヘクタールの法人組織に携わる千葉太郎さん(東磐井農民組合組合長)は憤ります。この法人では主食用米、飼料用米と同時に牧草の生産を行っています。転作支援が削減されることで、22年度は328万円の減収、5年後には600万円の減収になると試算されています。現在でも、年間の収益は200万円程度。制度改悪で赤字になるのは必至です。

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交付金見直しに怒る千葉さん

 このままでは土地を返すしかありません。「耕作放棄地になる」「鳥獣の巣になる」「集積協力金も返還か」……問題が次々に起こりかねないと千葉さんは言います。

 今回の転作支援削減については、情報が現場にまったく伝わっていません。

 1月上旬に千厩町内の5つの法人組織が会合をもちました。会合では制度改悪で、5法人500ヘクタール全体で1500万円の減収になることが明らかに。ブロックローテーションができる平場とちがい、谷沿いに農地が段々に続く中山間地では5年に一度の水張りは不可能であることなど、次々に問題点が出されました。

 この地域は酪農・和牛繁殖など畜産も盛んな地域です。飼料が高騰するもと、牧草をはじめとした飼料作物生産はますます重要です。また、加工用トマトなどの高収益作物にもチャレンジしながら、中山間地ならではの多様な農業をめざしています。今回の制度改悪は、この努力に逆行するものです。

 「『米を作るな』というから転作してきた。米以外をやるなら、水はないほうがいい。でも、畑作の支援がまともにないから、水田対策の政策にのってきた。それをいきなりやめたり水を張れといったり、どれだけ生産現場を振り回せば気が済むのか」

 県農民連は、制度改悪の撤回を求めて声を上げていきます。

(岩手県農民連事務局長 岡田現三)

(新聞「農民」2022.2.7付)
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2022年2月

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