子ども用食品から
グリホサートを検出
食品分析センターが共同調査
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農民連食品分析センターではこれまでの調査で、パンやパスタなど小麦製品から除草剤ラウンドアップの主成分「グリホサート」の残留を検出してきました。グリホサートは、近年の研究で生殖や子どもの発達への影響が懸念されています。
今回、分析センターは「デトックス・プロジェクト・ジャパン」と「食べもの変えたいママプロジェクト」と共同で、ベビーフードや植物性の粉ミルクの残留グリホサート調査を行いました。
国産小麦使用の製品から検出なし
グリホサートは輸入小麦由来か
結果は表1に示します。ベビーフード10製品中6製品からグリホサートが検出。すべて小麦粉の原産国が未記載です。「国産小麦使用」と明記した製品からは不検出でした。粉ミルクは2製品ともに不検出でした。
特に、株式会社ギンビスの類似製品2製品に注目すると、国産小麦を使用した製品「たべっ子BABY」は不検出なのに対し、原産国記載のない「たべっ子どうぶつ」からはグリホサートが検出されました。
分析センターの八田純人所長は「国産小麦使用の製品からは不検出であったことや、国内の小麦の自給率が17%(2019年)と低く、アメリカやカナダ産の輸入小麦の大半からグリホサートの残留が検出されている(表2)ことなどから、ベビーフードのグリホサートは輸入小麦由来と考えられます。国産小麦の安全性が際立つ結果となりました」と話します。
濃度は低くても、
長期に摂取すれば蓄積の影響が心配
許容量の400分の1で安全か
0・01ppmのグリホサートが検出された「たべっ子どうぶつ」は一袋17グラム入りなので、全て食べるとグリホサート0・17マイクログラム(1マイクログラムは100万分の1グラム)食べることになります。安全基準とされている一日摂取許容量(人体に影響が出る濃度に100倍の安全係数をかけて設定したもの。グリホサートは体重1キログラムあたり1日1ミリグラム)は3歳6カ月の子ども(平均体重、約15キログラム)の場合、67マイクログラムとなり、1袋分のグリホサートは一日摂取許容量の400分の1程度となります。しかし、これで安全と言い切ってもよいのでしょうか。
今回の結果について、環境脳神経科学情報センターの木村―黒田純子さんは「検出濃度が低くても、子どもへの影響が懸念される(コメント全文は2面)」と指摘しています。
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調査したベビー食品 |
国産使用とそれ以外に差は明白
共同で調査を行った「食べもの変えたいママプロジェクト」の杉山敦子さんは、「これまでの分析センターの調査で、学校給食パンからグリホサートが検出されるなど、影響が特に懸念される子どもの食が心配だったことがありました。しかし有機食品だけで生活することも現実には難しいと思います。今回は特に発達などに影響が懸念されている乳幼児の食べる食品の調査を行いました」と調査の狙いを語ります。
「予想はしていましたが、国産小麦使用とそれ以外で明確に差が出る結果になりました。輸入小麦からはやっぱり出たかという気持ちです。濃度は低いですが、日常的に食べる食品なので、長期摂取による蓄積の影響が心配です」と懸念します。
「多くのママさんたちは『日本の食品は安全』と、疑いもせずに食べていると思います。こうした数字で結果を残すことで、気づきにつながり食への関心につながっていくのでは、と期待しています。市民の手にある独立した検査機関として、分析センターとは、今後も共同して調査をしていきたいです」と杉山さんは話していました。
次週号(8月16日付)は休刊にします。
新聞「農民」編集部
(新聞「農民」2021.8.9付)
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