RCEP(アジア包括的経済連携協定)で
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“危険な正体がバレないうちに、国会を通してしまえ”――菅政権がRCEP(アジア包括的経済連携協定)の国会承認を焦っています。
政府はRCEPで「5品目を守ったから日本農業に影響はない」「国内総生産(GDP)はTPP(環太平洋連携協定)11の2倍増える」と宣伝していますが、これはとんでもないフェイク(デタラメ)ニュースです。
日本の農産物輸入の構造は、穀物・畜産物=「主食・主菜」をアメリカ・カナダ・オーストラリアに依存し、野菜・果物・加工食品などの「副菜」を中国・韓国・東南アジアに依存するという特質を持っています。主食・主菜の輸入依存政策の結果、農業の基盤が突き崩され、自給率は38%に下がりました。
一方、「選択的拡大」品目として生産が伸びていた野菜・果物などの国内生産に対し、とくに80年代以降、中国・韓国・東南アジアからの「副菜」輸入拡大が重大な打撃を与えてきました。まるで「前門の虎、後門の狼」です。
大産地、高知県のしょうがの収穫風景(土佐市) |
RCEP(アールセップ)とは?アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)協定は、自由貿易協定(FTA)の一種で、東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国と日・中・韓、オーストラリア・ニュージーランドの15カ国からなり、国内総生産・人口ともに世界の3割を占める巨大自由貿易協定です。中国・韓国と初めて結ぶFTAでもあります。
このほか、外食などで使われる加工・冷凍野菜を含めれば、中国からの輸入は30年間で27万トン(90年)から155万トン(18年)へ6倍になっています。
2000年代始めに「農薬汚染冷凍ほうれん草事件」や「毒入り冷凍ギョーザ事件」があったにもかかわらず、です。RCEP協定では、さすがに冷凍ほうれん草や白菜は、中国・韓国向けには関税を撤廃しませんでした。
しかし、野菜全品目をASEAN・オーストラリア・ニュージーランドに対して関税を撤廃します。また、しょうが、ごぼう、えんどう、かぼちゃ、ブロッコリー、アスパラガス、枝豆など、輸入急増によって自給率が30〜60%台に下がっている品目については、中国に対しても関税を撤廃します(表1)。
政府はコロナ禍による米の消費減と米価暴落対策をとらず、減反拡大の押しつけに血道をあげていますが、RCEPが野菜・果物を直撃すれば、転作の道をふさぎます。
[2021年4月]
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