「農民」記事データベース20210125-1441-01

コロナ感染拡大

無策・右往左往の菅政権

関連/持続化給付金 申請期限延長


力あわせれば政治は変えられる

 菅政権がスタートした昨年9月以来、1日ごとの新型コロナ感染者は551人から7882人に激増しています(図1)。

 菅首相がやってきたことは、10月1日にGo Toトラベルに東京を追加して感染爆発の下地をつくったうえ、日本学術会議への人事介入やRCEP(地域的な包括経済連携)交渉など、民主主義と農業破壊のオンパレード。政権の基本方針を示す所信表明を40日も遅らせ、やっと開いた臨時国会も、“逃げるが勝ち”とばかりに、国民と野党の延長要求を拒絶して早々に終わらせる――。

 「死に神総理」という批判も

 菅政権のコロナ対策の特徴は「小出し、後出し、右往左往」(日本共産党の小池晃書記局長)。インターネットでは「意図的な不作為(わざと何もしないこと)による国民の見殺し」「死に神総理」という批判がうずまいています。

 ズレまくった緊急事態宣言

 菅首相がGo Toトラベル停止を渋々表明する一方、「緊急事態宣言は検討していない」と記者会見したのは12月14日。その夜にやったのは、二階幹事長らと「ステーキ会食」。12月31日まで「宣言はしない」と言い続けました。

 正月2日に1都3県の知事にせっつかれて重い腰をあげ、“愛も誠意も情熱もない冷たいスピーチ”(歌手の小柳ルミ子さん)と評された7日の記者会見では1都3県以外の宣言は「必要ない」と述べていたのが一転、6日後に11都府県に拡大しました。

 しかも、感染者が昨年4月の第一次緊急事態宣言時(約500人)の15倍になっているにもかかわらず、記者会見では「飲食店」「夜8時」を連呼して、対策を夜の飲食問題にわい小化。飲食店やパチンコ店、映画館などへの休業要請、7〜8割の外出自粛要請などを行った第一次宣言から大幅にスケールダウンしています。

 NHKの世論調査(1月12日)では、1カ月で「宣言を解除できないと思う」人が88%に達しています。しかし、菅首相は「1カ月で収まらなければどうするのか」との質問に対しては、「仮定のことについては答えを控える」と“菅語”答弁。1カ月先のことも考えていないのか、それで首相が務まるのかといわざるをえません。

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1都3県の「緊急事態宣言」を発表する菅首相(左)=1月7日(首相官邸ホームページから)

 「官邸は世論を恐れている」

 専門家は「政府の緊急事態宣言では、解除しても4月には再宣言が必要になる」と警告しています。コロナ禍の恐ろしさとともに、菅政権の逆行と無為無策、右往左往による“人災”――これこそが国民にとって「緊急事態」です。

 この結果、内閣支持率は急落しています。毎日新聞(1月16日)の調査では、支持が9月の64%から33%に半減する一方、不支持が27%から57%に倍増し、週刊誌上では「さらば菅政権」(週刊ポスト)、「『孤立の宰相』菅の余命『コロナ敗走』政権は麻痺状態」(『選択』)と書きたてられるありさまです。

 官邸関係者は「官邸は世論を恐れている」と述べています(朝日、1月14日)。

“人災政権”に別れを告げる年に

 声をあげれば政治は変えられる

 コロナ感染爆発を防ぐうえで、検査の大幅拡充と感染者の隔離・保護は絶対に必要ですが、日本の検査の遅れは悲惨な状態です(図2)。しかし、ここにも変化の兆しがあらわれています。

 「政府は3月にも不特定多数を対象にした新型コロナウイルスのPCR検査を始める。都市部の多くの人が集まる場所で毎日数百件から数千件検査し、無症状者を含む感染の全体像把握に役立てる。本人負担を無料とし、幅広く受けてもらう」(日経、1月11日)

 なぜ緊急事態宣言を発令した1月からではなく3月からなのか、なぜ大都市に限るのか、なぜ毎日数百件から数千件程度なのか……。不十分きわまりないものですが、これ自体は一歩前進です。

 私たちは「未曽有のコロナ禍による被害に補償を」の声をあげ、政府が頑固に拒否してきた直接支援の道をこじあけ、農民の苦難あるところに農民連ありの精神を発揮して、持続化給付金、経営継続補助金、高収益作物次期作支援など数々の成果をあげてきました。しかも持続化給付金は、世論と運動におされて申請期限が1カ月延長されました。

 「農民連会員になってよかった」――多くの仲間の喜びの声のなかに「声をあげれば政治は変えられる」の確信があふれています。

 今年は選挙の年。“人災政権”に別れを告げる年にしようではありませんか。


持続化給付金 申請期限延長

2月15日まで 大きな前進

 政府は、1月15日終了予定だった「持続化給付金」と「家賃支援給付金」の申請受け付けを、急きょ、2月15日まで延長すると発表しました。

 1月12日の農民連の要請に対し、中小企業庁は「農家の間に持続化給付金を普及してきた農民連の努力に謝意」を述べつつも「延長できない」としてきた中で、大きな前進です。14日の延長発表では、「売上対象月を12月の場合」と限定していましたが、15日の梶山弘志経産相の記者会見で、「今回の緊急事態宣言の再発令で申請書類の準備が難しくなっている方もいらっしゃいます。2月15日まで延長いたします」と述べ、「12月の限定」を外しました。

 1月末までに「1月15日までに必要な書類を用意するのが難しい」旨の申し出が必要です。私たちの運動の成果を生かし、申請支援を広げましょう。(3面に関連記事)

(新聞「農民」2021.1.25付)
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2021年1月

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