乳製品は大幅輸入減これはヒドイ!
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しかし、菅首相の所信表明演説(10月26日)には、米価暴落の「ベ」の字もなし。それどころか、「聖域」も「前例踏襲」も許さず、「自助」という名の「自己責任」の押しつけで「活力ある地方を創る」という決まり文句を並べたてるだけです。
いま求められているのは「このままでは米作りは続けられなくなる」という切迫した声にこたえて、米危機を打開することです。しかし、菅政権がやっていることは、これに全く逆行する米つぶし政治です。
しかし、最も「過剰」なのは外米(ミニマム・アクセス米=MA米)です。外米のうち、主食用に輸入される米(SBS米)は、今年に入ってほぼ輸入ゼロ状態が続いています。ところが農水省の「米需給基本指針」は、来年、史上最大級の減反上積みを強要する一方で、外米については、これまで通りMA米77万トン、うちSBS米10万トンを輸入することを明記しています。
要らない外米には手をつけず、もっぱら国内の減反にツケを回して自己責任を押しつける――最悪の“外米ファースト”政治というほかありません。
農家の労働が報われる米政策に(島根県邑南町) |
コロナ禍で需要が減り、在庫が積み上がっているという点では、米と全く同じ事情の乳製品の輸入割当枠を政府は大幅に減らしています。脱脂粉乳は82%減、バターは30%減(図1)。
いずれもコロナによる学校給食・外食需要減に伴って生乳を脱脂粉乳・バター製造に回し、在庫が増えていることへの対策であり、輸入を減らして、国内には減産を押しつけないという当たり前の政策です。
乳製品でやっていることを、なぜ米ではやらないのか!? 「米は国家貿易品目だから輸入せざるをえない」という言い訳は通用しません。バターも脱脂粉乳も国家貿易品目です。外米輸入は「聖域」だとあきらめず、今こそ声を大きくあげる時です。
現在、米の政府備蓄は91万トンですが、 2000年には3倍の276万トンで、備蓄の役目が済んだ米は飼料・加工・援助用に回っていました。これと競合するのがMA米です。政府はMA米との競合を避けるために、政府備蓄方針を200万トンから100万トンに半減しました。
「緊急備蓄買い入れで暴落対策を」という要求に対し、葉梨農水副大臣は「政府が備蓄米を買い入れるという時代ではない。現行制度以上のことをやるつもりはない」と冷たく拒否しました。
「悪しき前例は踏襲しない」が菅首相の言い分ですが、コロナ禍という異常事態のもとでも、米つぶし政治の「前例」はそっくりそのまま踏襲するという宣言です。
また、財政の無駄を削る行政改革が菅政権の看板ですが、不要な外米を輸入し続けた結果、その処理にかかる財政負担は毎年300〜500億円にのぼっています。
外米輸入をやめれば、こんな不要不急な経費を削り、暴落対策も減反拡大中止もできる――まさに一石三鳥ではありませんか。
77万トンと57万トンの差、20万トンはコロナによる米需要消滅10万トンの2倍。せめて米消費減に見合ってMA米を削減しろ――コロナ禍の今、要求運動を強めようではありませんか。
[2020年11月]
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