「農民」記事データベース20200810-1420-10

グリホサートの規制・禁止は世界の流れ
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検査・散布禁止・販売規制…

世界各国で運動広がる

 グリホサートの人の健康への影響の問題などを通じて、いま世界で、食の安全・安心を求める運動が各地で広がっています。

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グリホサート禁止など農業政策の転換を求めて行われたデモ(2018年1月、ドイツ)

 アメリカでは、3人の子どもの母、ゼン・ハニーカットさんが、子どものアレルギーや行動障がいのような症状の原因を調べるなかで、遺伝子組み換え食品やグリホサートの問題に突き当たり、それを機に非遺伝子組み換え食品やオーガニック食品に変え、子どもたちの健康が改善しました。同じように苦しむお母さんたちとネットワークを立ち上げ、全米の母親たちの団体「マムズ・アクロス・アメリカ」を2013年に設立しました。

 ゼンさんは、全米をはじめ世界を回り、日本にも数回にわたり訪問し、各地で講演しました。

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ゼン・ハニーカットさん

 講演終了後、多くの参加者から ゼンさんたちの活動のベースとなったグリホサート検査を日本の子どもたちにもぜひ実施したいという声が寄せられました。

 そこで、ゼンさんの講演会を主催した有志メンバーが再び集まり、日本人の身体にグリホサートがどのくらい蓄積しているのか、私たちがどのくらい農薬を摂取しているのかを広く一般の人たちを対象に検査し、結果を公表するプロジェクトとして「デトックス・プロジェクト・ジャパン」を2019年5月21日に立ち上げました。

 農民連食品分析センターが検査を進め、その結果を示してグリホサートの収穫前散布や公園・学校・道路など公共の場での散布の禁止、一般販売の規制など、グリホサートの削減をめざします。

 自治体や企業レベルでのグリホサートの使用禁止、他の農薬への切り替えの動きも、粘り強い市民運動の力によって実現しています。

 神奈川県秦野市議会では今年5月、グリホサートとネオニコチノイドの公共関連施設での全面的な使用禁止を求める国への意見書提出と市条例制定を求める陳情が趣旨採択されました。各地の市町村議会でも質疑の結果、公園や小中学校でのグリホサートの使用を中止させています。

 ドイツのビア・カンペシーナ加盟組織AbL(農民的農業活動連盟)は、他の市民組織と協同で2018年にグリホサート使用の段階的廃止など農業政策の見直しを求めて大規模なデモを行うなど、運動を進めてきました。

 その運動が結実し、ドイツ連邦政府が19年9月に提出した「農業一括法案」の「昆虫保護行動計画」では、グリホサートの23年末の使用禁止が盛り込まれました。

 AbLは、地球温暖化にともなう気象災害への対処や環境にやさしい農業への転換(グリホサートの使用禁止・殺虫剤ネオニコチノイド系農薬の使用削減)などについての連邦政府の積極的な対策を基本的に支持し、その着実な実施に中小農民は応える用意があるとしつつ、必要な追加経費についての確実な補償・助成を求めて運動を続けています。

(新聞「農民」2020.8.10付)
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2020年8月

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