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農民の種子を企業のもうけにするな
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種子の独占強めるアグリビジネス

 世界の大手多国籍化学企業(アグリビジネス)が種子の特許を独占し、さらに大きなもうけをあげようと暴走しています。

遺伝子組み換え技術の登場と特許が後押し

 遺伝子組み換え技術の登場(1970年代中頃)で、はじめは80年前後に、モンサント社など農薬などを販売する多国籍化学企業が中心になって種苗企業の買収が進み、次に、90年前後には、遺伝子組み換え作物の開発が活発化しました。種子の支配者が穀物メジャー(米カーギル社など)や巨大財団(ロックフェラー、フォードなど)から多国籍化学企業へと交代します。

画像  その後、現在まで、(1)独バイエル社がモンサント社を買収、(2)米デュポン社と米ダウ・ケミカル社が経営統合、(3)中国の国営企業・化工集団公司がスイス・シンジェンタ社を買収――するなど巨大多国籍企業同士の買収・合併が相次いでいます。こうして、3つのグループで種子や農薬の売り上げの約7〜8割を占めるなど、独占が進んでいます。(右図)

 種子の企業支配をもたらし、支配の手段となってきたのが知的所有権(新品種保護制度と特許制度)です。1961年にUPOV(ユポフ=植物の新品種保護に関する国際条約)が成立し、それに呼応して日本では種苗法が制定されました。

 こうしたアグリビジネスによる世界戦略は、生命特許の考え方を確立し、80年に微生物、85年に植物、88年に動物が特許の対象になりました。特許とは本来、工業製品に対してかけられるものです。その後、91年にUPOVが改正され、育成者権が強化されました。保護の対象も農作物430種類から全植物種に拡大され、収穫物や加工品にまで権利が及ぶことになり、あわせて特許も認められることになりました。こうして農家の自家採取が制限されていきました。この流れに沿って、国内では、98年に種苗法が全面改定され、育成者権が強化されてきました。

 また、1995年にWTO(世界貿易機関)が設立され、TRIPs(知的所有権)協定が発効し、生命特許の国際化がさらに進みました。98年に遺伝子特許も成立し、「遺伝子特許を制する者が種子を制し、種子支配が食料支配をもたらし、食料を制する者が世界を制する」という構図ができたのです。

(新聞「農民」2020.3.9付)
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2020年3月

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