「農民」記事データベース20191111-1384-01

ゲノム編集食品、年内にも食卓へ

安全審査、表示義務ないまま

 遺伝子を改変・操作する「ゲノム編集」技術を使った食品が、早ければ年内にも流通し、食卓に並ぶことになりそうです。ゲノム編集食品の開発者(企業など)が国へ届け出る制度が10月から始まっており、一部については安全性審査が義務付けられておらず、国への届け出や食品への表示も販売する側の任意とされ、食品としての安全性について懸念する声が上がっています。


日米貿易交渉が進めば
日本への緩和圧力さらに

8万人分超の反対署名を提出

 ゲノム編集には、DNAを狙った位置で切断して特定の遺伝子の機能を止める手法や、狙った部分に新たな遺伝子を組み入れる方法があります。栄養価の高いトマトや収穫量の多いイネ、肉厚のマダイなどが開発されています。

 厚労省は遺伝子組み換え食品については、食品衛生法に基づいた安全性審査を義務付けています。しかし、10月1日から始まった新たな制度では、ゲノム編集食品のうち遺伝子を切断したものについては、開発者に任意の届け出を求めることにとどめ、審査を義務化しませんでした。遺伝子を新たに入れた食品については審査を義務付けました。

 一方、消費者庁も、ゲノム編集食品を規制していないアメリカからの輸入品を原材料にして加工食品を製造ずる業者に表示を課しても困難なことや、従来の突然変異による品種改良と科学的な判別が不可能なことを理由に、遺伝子を切断した食品には表示を義務付けないことを決定。事業者側に任意で表示を呼びかけるにとどめています。

 トランプ米大統領は6月、「バイオ農産物規制の枠組みの現代化」という大統領令を公布しました。

 遺伝子組み換え(GM)・ゲノム編集技術が農業生産に革命的な進歩をもたらすと手放しで持ち上げたうえで、GM農産物と除草剤グリホサートに対する「過剰な規制」を洗い出し、アメリカ国内だけでなく海外でも規制を撤廃することを、政府機関に期限を区切って命令しています。

 日米貿易交渉が進めば、ゲノム編集やGM食品の輸入拡大を迫るアメリカから日本への圧力はさらに強まります。日米貿易交渉はただちに中止すべきです。

 9月25日に日本消費者連盟主催で「ゲノム編集食品の規制と表示を求める署名提出集会」が衆院第2議員会館で開かれ、150人が参加しました。第1次集約分の署名は8万2552人分で、厚生労働省、農林水産省、環境省、消費者庁に提出しました。

画像
院内集会で「ゲノム編集食品はいらない!」

 集会終了後、厚生労働省を取り囲む緊急アクション「ゲノム編集食品はいらない!ヒューマンチェーン」が行われ、100人が参加しました。参加者は、ブルーの服やスカーフなどを身に着け、「私たちはモルモット?」と書いた横断幕やプラスターを持ちながら、リレートークやコールでゲノム編集食品の安全審査と規制を求めました。

画像
安全審査、表示義務ないまま


 「ゲノム編集食品の規制と表示を求める署名」に引き続き取り組んでいます。署名の第2次集約は11月30日締め切りです。署名の提出は、来年1月を予定しています。多くの署名を集め、政府につきつけましょう。

(新聞「農民」2019.11.11付)
ライン

2019年11月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2019, 農民運動全国連合会