「農民」記事データベース20190610-1363-01

新自由主義農政とのたたかい

ビア・カンペシーナ
東南アジア・東アジア地域会議

 国際農民運動組織ビア・カンペシーナの東南アジア・東アジア地域の年次総会にあたる地域会議が5月21〜24日、千葉県佐倉市などで行われました。日本で開催されるのは2006年以来2度目です。
 農民連の代表のほかインドネシア、マレーシア、タイ、カンボジア、東ティモール、ベトナム、オーストラリア、韓国の8カ国から10団体32人の海外代表が参加。「農民の権利宣言」や「国連家族農業の10年」など国際社会の変化を力に、農業破壊の新自由主義農政に対抗するため力を合わせることを確認しました。


「農民の権利宣言」「家族農業の10年」を生かして

 地域会議
 「権利宣言」の実践議論、行動方針定める

 地域会議は22日午後から24日午前の丸2日間行われました。直近の政治情勢の確認やビア・カンペシーナの機構の説明、各組織の活動交流などが行われました。

 多様な言語が存在する東南・東アジア地域ではコミュニケーションをどうはかっていくかも大きな課題で議論がなされました。

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会議の冒頭に行われるミスティカ(寸劇)

 昨年国連総会で採択された「農民の権利宣言」について、公式の翻訳と組織内の学習の強化、民衆のためのマニュアルを作ることが呼びかけられました。グループ討論では「農民の権利宣言の実施のための各国の活動」「どの条項が地元の農業を守るために必要なのか。その実施に何が必要なのか」について議論がされました。

 韓国では、市民と共同で国会に対し「権利宣言」を審議することを請願。タイや東ティモールからは、「権利宣言」の実施の重要性を確認し、市民に知らせるため、法律にも反映させる取り組みが話されました。

 最終日の行動計画の策定では、来年行われる世界貿易機関(WTO)の閣僚会合や日米FTA(自由貿易協定)などに向けて新自由主義貿易協定とのたたかいの強化が呼びかけられました。

 また25日には国際フォーラムを開催(詳細は4、5面)。農民連食品分析センターの見学と農民連役員との懇談、農協に関するセミナーも行われました。

連帯して強く対抗しよう

 女性会議
 女性の権利向上 農民の権利向上につながる

 地域会議の初日には女性会議が開催されました。世界各地の農村では、女性が大きな役割を担いながら、権利が抑圧された状態が続いています。ビア・カンペシーナは「農村女性の権利を向上させることは、小農民の権利を向上させる」「世界を変えるために、女性への暴力の根絶、政治への積極的参加を進め、女性の状況を可視化すること」を運動の重点課題のひとつとしています。

 韓国女性農民会(KWPA)のユン・グンスンさんを講師に、農村の女性の現状を学ぶ学習会を行いました。

 農村訪問
 千葉県3カ所を訪問、農民自身の組織運営に関心

 地域会議に先立つ21日に、千葉県匝瑳(そうさ)市の市民エネルギーちばと栄営農組合、山武市のさんぶ野菜ネットワークを訪問しました。

 市民エネルギー千葉では代表の椿茂雄さんがソーラーシェアリングによる耕作放棄地の解消や売電事業の収入による地域振興、新規就農支援などを解説。あいにくの雨模様でしたがパネルの下のほ場も見学しました。

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雨の中、ソーラーシェアリングのほ場を見学

 参加者からは発電した電気の使い道や、耕作する農家の収入など、太陽光発電でどのように営農を支えているのか質問が相次ぎました。

 栄営農組合ではライスセンター内で代表理事の伊藤秀雄さんが組合の成り立ちや事業の概要を説明。海外代表は大きな田植え機の前で、組合の運営方法や実際の作業の詳細などについて熱心に質問していました。

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栄営農組合では田植え機が一行をお出迎え

 さんぶ野菜ネットワークでは有機野菜生産による新規就農者の育成と地域の維持などを下山久信事務局長から聞きました。新規就農者の土地の所有形態などが質問として出されました。

 参加者はそれぞれの地域と農業を守る取り組みに対して、その仕組みや運営方法などを熱心に学んでいました。

(新聞「農民」2019.6.10付)
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2019年6月

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