「農民」記事データベース20180813-1323-05

全国研究交流集会
分科会

関連/結成30周年記念大会の成功へ
  /全国研究交流集会 分科会


第1分科会
税金・国保の要求運動

なんでも相談会や
青色申告の取り組みを学習

 約40人が「なんでも相談会」「更正の請求」による節税、青色申告への積極的な取り組みなどについて学びました。

 「なんでも相談会」は、大阪の西村悟さん、中西顕治さんを進行役に、参加者の中から3人が相談者になって実際のやりとりを再現。相続や事業承継時の申告のしかたなど、具体的な課題について検討しました。参加者からもさまざまなアドバイスがあり、「すべてに即答できなくても知恵を出しあって勉強していく」「気楽に始めることが大切」などと語り合いました。

 「更正の請求」は、過去の申告内容をさかのぼって更正する手続きです。須藤宏さん(青森)は「初めて相談に来る農家には、それまで税金を納めすぎている人も多いので、過去の申告書もチェックしよう」「手続きはいつでもできるので、通年の取り組みにして組織拡大につなげよう」と呼びかけました。

 山形の梶昇司さんは、庄内農民連青色申告部会の活動を報告。「青色申告にも積極的に対応することで、専業農家などからも信頼される」と強調。パソコンソフトを紹介しながら「青色申告会に参加している農家を農民連に迎え入れよう」と訴えました。


第2分科会
生産と多様な流通

米の準産直や
持続可能な生産などを交流

 第2分科会のテーマは「生産と多様な流通」。島根県農民連の河津清さんは、米の準産直の取り組みで組織づくり・会員拡大に足を踏み出している経験を報告。茨城・農事組合法人「大地のめぐみ」の山口徹さんは、組織合併の新店舗建設による地域との共生を報告。

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活発な議論が行われた第2分科会

 山形おきたま産直センターの渡沢賢一さんは、田んぼの生きもの調査など、自然循環を生かし、多面的機能支払い制度も活用した持続可能な農業生産について発表。農民連にいがた産直センターの佐藤恒夫さんは、ネオニコチノイド農薬不使用の安全・安心な米づくりについて自らの実践を語り、農民連食品分析センターの八田純人所長が、ネオニコチノイド農薬をめぐる内外の動向を報告し、分析センターの活用を訴えました。

 千葉・房総食料センターの越川洋一さんは、堆肥を活用した野菜作りについて報告しました。

 その後の交流では、生産技術についての質問や、「田んぼにクモの巣が一面に張っている」「最近ウンカも少ないがネオニコと関係あるのか」などの質問や経験が出され、参加者同士で討論しました。


第3分科会
再生可能エネルギー

農山村の資源生かそう
農民連がその先頭に

 第3分科会には、13県から23人が参加。

 千葉県東総農民センターの寺本幸一さんと今井睦子さんが、大規模ソーラーシェアリングで農業後継者を育成し、地域農業を活性化させる取り組みを報告。福島県農民連の多彩な再エネ事業の取り組み(佐々木健洋さん)、太陽光発電と産直を結んだ千葉県多古町旬の味産直センターの取り組み(小林由紀夫さん)、耕作放棄地対策や就農者支援に太陽光発電の収益を活用する和歌山県紀ノ川農協の取り組み(長田倫子さん)、森林組合と町が協力して小規模の木質バイオマス発電を建設した愛媛県内子町の取り組み(森井俊弘さん)の5事例が報告されました。

 討論では設置費用から森林管理まで幅広い質問が出され、「資源の豊富な農山村こそ、再エネに取り組むべき。農民連がその先頭に立ち、エネルギーと経済の地域循環をつくっていこう」と話し合いました。


第4分科会
担い手づくり

実践を交流し
新たな担い手作りを

 第4分科会は「地域の生産を広げる担い手をどう作っていくのか」をテーマに行いました。

 千葉の多古町旬の味産直センターからは菅沢博隆さんが、農業生産法人(有)ゆうふぁーむで、新規就農者3人に経営を引き継ごうとしている現状を報告しました。

 和歌山・紀ノ川農協の味村妃紗さんは、紀ノ川農協が「地域の発展なくして紀ノ川農協の発展なし」の理念のもと、耕作放棄地の再生や婚活イベントなど、持続可能な農村を目指す取り組みを行っていることを報告しました。

 島根県連の長谷川敏郎さんは島根県が専業・現業を問わない新しい生活スタイルの支援を含めた独自の新規就農支援を行っていることを紹介しました。

 新規就農者を迎え入れたときの苦労やあつれきがあるという発言や、そうした苦労をできること自体が幸せなことであるという意見のほか、新規就農者からは「暗黙の了解となっている村の慣習や技術を明文化してほしい」という率直な意見が出されました。


第5分科会
直売所・加工・農家民宿

ないものねだりより
地域にある資源を生かそう

 直売所や農産加工、農家民宿をテーマにした第5分科会には、26人が参加しました。

 福島県二本松市の菅野正寿さんは、「NPO法人として280人の会員で直売所を運営し、23軒の農家民宿を立ち上げてきた。桑の葉や実などあるものを生かした加工品も開発。NPOは新規就農者の受け皿にもなっている」と語り、沖縄から移住し、野菜を作りながら農家民宿を営む若者が、お年寄りから竹細工を学んでいることなどを紹介。「ないものねだりより、地域にある宝ものを掘り起こすことが大事」と呼びかけました。

 新潟県三条市の鶴巻純一さんは、5〜11月の間、長岡で20年続けてきた日曜朝市を、3年前に直売所を新築したのを機に、通年営業にしたことを報告。高知県土佐市の野田睦美さんは、消費者と通年で付き合える商品をと、文旦ゼリーの加工に挑戦していると報告しました。

 笹渡義夫会長からは西日本豪雨被害を受けた愛媛県(西予市)の「百姓百品」グループの報告などもあり、質問も活発に飛び交い、いきいきした分科会でした。

(新聞「農民」2018.8.13付)
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2018年8月

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