「農民」記事データベース20180528-1312-08

地元産の食材で安全な学校給食を
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 奈良の学校給食を考える会(愛称“きゅうしょくカンガルー”!)は、奈良県農民連やコープ自然派などがメンバーとなり、おいしい給食と本当の食育をめざして2011年から活動しています。現在、SNSのフェイスブックや、月一回のメールマガジンで給食や食育にまつわる情報を発信。学習会や交流会に取り組んでいます。給食は自治体ごとに実施状況が異なるため、地域で様々な取り組みが行われています。橿原(かしはら)市と大和郡山(やまとこおりやま)市の給食の取り組みをリポートします。
(奈良県農民連 水井康介、北和農民センター 森口いち代)


原動力は保護者たちの奮闘

地域産直でおいしい給食発展
奈良 橿原

 橿原市では、現在、小中学校26校に、約1万食の給食が自校調理により提供されています(一部の学校を除く)。地場産野菜は15品目程度が食材に使われています。しかし2年前までは地場産率目標30%に対し7〜8%、それも5品目程度でしか達成していないという状況でした。

 この地場産給食の推進は、市内の学校に通学する保護者たちの活動が原動力になっています。保護者と生産者で「橿原の給食を考える会」を立ち上げ、農業・食育体験や、農民連の生産者から地場産給食への食材提供を行ってきました。

 活動のきっかけは2016年5月、市内の保護者と農家の学校給食についての懇談会でした。お互いが初めて顔を合わせた懇談会ではそれぞれの給食に対する様々な思いや意見が出されました。

 しかし詰まるところは、「子どもたちにおいしくて安全な給食を実現したい」という思いでした。交流を深めつつ、さっそく関心のある人を増やそうと情報の共有に着手。手始めに田植え交流と、給食関係者との懇談をスタートしました。

 そして懇談のひと月後の6月下旬、市内の田んぼで初めての田植え交流を行いました。当初は田植え以降の予定はありませんでしたが、「田植えをしたなら次は稲刈り、稲刈りしたなら新米を食べてみたい!」という声があがり、通年での交流行事となっています。今ではPTAの給食委員をしている保護者などもメンバーに迎え、参加者も倍増しています。

 教育委員会との懇談も、不定期ですがたびたび開催。懇談会は地場産活用を中心に、アレルギー対応、食育活動など多岐に及んでいます。

 教育委員会も地場産の食材を求めている一方、規格や量といった問題のほかに、調理が自校方式のため朝の1時間程度の間に22カ所に同時に納入することが最低条件となっており、大きな壁となっていました。業者を含め様々な方法を検討しましたが難航していたところ、以前から地場産食材を納入していた奈良県農協の地域経済センターの全面的な協力もあり、納品時間の壁をクリアすることができました。

 子どもたちや食に関わるみんなが携わる「おいしい給食運動」は、地域に根ざした産直運動としても発展しています。

(新聞「農民」2018.5.28付)
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2018年5月

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