「農民」記事データベース20171023-1284-02

福島原発・生業(なりわい)訴訟勝訴
国と東電の責任認める

福島地裁判決

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  /東電本社前でも大歓声


津波予見できたと判断
賠償の範囲拡大、額も上積み

 東京電力福島第一原発事故の被災者約3800人が、国と東電に原発事故の責任があることを明確にし、原状回復などを求めた「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ」福島原発訴訟(生業訴訟)判決で福島地裁は10月10日、国と東電に責任があることを言い渡しました。津波被害を予見できたにも関わらず、対策を怠ったと判断し、国の中間指針に基づく慰謝料の支払いを上回る賠償を認めました。

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勝利判決の第一報の幕を掲げる弁護団

 約600人の原告が福島地裁前で判決を見守りました。「勝訴・国と東電断罪」という勝利の垂れ幕が掲げられると「勝ったぞー」のアナウンスとともに、一気に歓声が沸き起こり、鳴りやまない拍手のなか、4年半の裁判をたたかい続けた原告や関係者が喜びあいました。

 判決では、原状回復請求は却下されたものの、県南や茨城県の一部で賠償が認められるなど賠償範囲の拡大と賠償額の上積みが認められました。裁判に参加していない対象地域に住む県民約150万人に賠償の支払いが行われる可能性があります。同じように避難者が全国各地で起こしている訴訟にも影響を与え、控訴審の足掛かりになる判決であり評価することができます。

 国・東電は、原発事故は「想定外」の自然災害で発生したものであると繰り返してきましたが、津波を予見することも十分な対策をすることもできたのにしなかったこと、過酷事故が発生する可能性を知りながら、違法な状態で原発を動かし続け、生命より「経済を優先」したことでまさに「人災」であることが司法の場で認定されました。

 東電は新潟県柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働の準備を進め、原子力規制委員会も「適格性」を認めています。被害を直視し、間違いを反省しなければ同じ失敗を繰り返します。責任を認めない東電と国は、原発を動かす資格も能力もないことは明らかです。

 今回の勝訴は通過点であり、この裁判の成果をてこに世論がさらに大きく「脱原発」で動けば、早期の被害救済につながります。引き続き全国からの支援をお願いいたします。

(福島県農民連 佐々木健洋)
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(新聞「農民」2017.10.23付)
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2017年10月

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