「農民」記事データベース20171002-1281-01

追いつめられて解散へ、
総選挙で安倍政権に審判を

2017年9月25日
農民運動全国連合会


 安倍晋三首相は9月25日、会見で28日から始まる臨時国会冒頭に衆議院を解散することを表明しました。総選挙は10月10日※1公示、22日投票が予定されています。

 今回の解散は、森友・加計疑惑やPKO日報隠しでの野党の追及を避けるための党利党略、政治の私物化そのものです。同時に、東京都議選での自民党の大惨敗、仙台市長選での市民と野党共闘候補の勝利など、憲法破壊と国政の私物化への国民的な怒りに追い込まれての解散です。

 安倍政権を退陣に追い込むために、解散総選挙を受けて立ち、総力をあげてたたかおうではありませんか。農民連は、会員の政党支持と政治活動の自由を貫いて選挙をたたかいます。

 同時に、安倍自公政権を打ち倒すために小選挙区での市民と野党共闘の成功に力を尽くし、野党統一候補の当選めざし全力をあげます。党派選挙となった場合は、農民の要求と各党の態度を検証し、会員と農民に安倍政権への審判を訴えてたたかいます。

 今回の総選挙は、安倍政治と農政全体を問う選挙です。憲法9条に自衛隊を書き込んで形骸化させ、歯止めのない海外派兵をもくろむ安倍自公政権に国民の審判を下さなければなりません。

 農業では、「成長戦略」を口実に多国籍企業の利益第一に、岩盤規制を破壊し、農業、林業、農山村地域を破壊する政治を根底から転換させる選挙です。

 同時に、2016年のカロリー自給率が38%に低下したもとで、TPPを11カ国で蘇らせ、日欧EPA(経済連携協定)や日米FTA(自由貿易協定)で、食料の外国頼みを更に加速させていいのか、農家の所得を700億円以上も奪う2018年から米の直接支払交付金の廃止や、政府が米の生産と価格、需給に対する責任の全面的放棄を許すのかどうかが問われる選挙です。

 8月23日の日本農業新聞の農政モニター調査では、「安倍農政を評価しない」が約7割、「安倍内閣不支持」も7割近くとなり、JA関係者や長年、自民党を支持してきた層の中に大激変が起きていることが明らかになっています。この農村での大きな変化に確信を持ち、農家の不安や怒りに正面から訴えかけ、政治を変えましょう。

 政治と農政を変えるために広範な農民と対話し、この機会に結びつきを広げ、会員や読者拡大に結実させましょう。


農業を大事にする政治へ
農家を減らさず経営安定を

北海道農民連副委員長
石澤元勝さん
=酪農家=

画像  ペダルのついたおもちゃのトラクターに乗って楽しそうに遊ぶ3歳になったばかりの孫をながめながら、この子が成長し本物のトラクターを操って酪農経営を継承するまでに、わが家の経営は続けていけるのだろうかという思いを心のかたすみで重く感じる。

 まわりの人たちがずい分農家をやめてしまった。自分の代で終わりという人も多い。安倍政権はTPPとか日欧EPAとか、日米FTAとか、横文字をならべて、農家や国民の反対の声を無視して、次々と農産物の自由化を進めているが、自動車を輸出しやすくするために農家に犠牲を強いているだけだ。

 農政の目的は、国民に食料を安定的に供給することである。そのためにはいまの農家を減らさず経営が安定するよう国が支援することだ。今度の選挙の目的は、安倍政治を終わらせ、農業を大事にする政治を実現することだ。いくら科学が進歩しても、自動車を食べることはできない。


家族農業つぶす安倍政権
野党共闘発展させ痛打

新潟県農民連会長
鶴巻純一さん
=米農家=

画像  新潟県ではコシヒカリの稲刈りが終盤を迎えています。お盆からの天候が曇雨天続きで、米の収穫量がだいぶ落ちるという見方がおおかたです。

 こんなとき、国会では臨時国会の冒頭解散が行われ、10月下旬に総選挙が実施されるといわれています。安倍内閣は戸別所得補償政策の根幹である米の直接支払いを半減させ、来年からは廃止しようとしています。

 また、7月には日本とEU(欧州連合)とのEPA交渉が「大枠合意」し、ほとんどの農産物の関税が撤廃されることが決まりました。アベノミクス農政は中小農家を農業から追い出し、国内の食糧生産をさらに危うくするものです。

 新潟では、昨年夏の参議院選挙と秋の県知事選挙で、市民の意識と野党の共通政策が合致して市民と野党の統一候補が勝利しました。この経験をさらに発展させ、今度の総選挙でも自公とその補完勢力を少数に追い込むために奮闘する決意です。


農村の後継者不足は深刻
農協の弱体化も許せない

熊本県農民連
紺屋本裕美子さん
=トマト農家=

画像  農村ではいま、後継者不足が深刻です。本当に若者がいない。いても農業を続けていけない。こんな状況になったのは、やはり政治が悪いと思います。安倍政権はこの間、TPPや日欧EPA、農業関連の悪法を次々と強行していますが、この先、農業を続けていけるのかと、本当に心配です。

 最近、知り合いのトマト農家が借金が膨らんで離農に追い込まれるというショッキングなことがありました。農業は技術も必要だし、もの作りには肥料などの先行投資も必要です。つくづくこの農政のもとで農業経営を守ることの難しさを痛感したし、長期的な後継者支援の必要性を思い知った出来事でした。

 安倍さんは農協つぶしもひどい。八代市には以前は10を超える農協の支所がありましたが、どんどん統合されて今では4つに減らされ、農機具センターも「赤字だから」と、1カ所に統合。故障してもなかなか修理に来てくれないなど、農協がどんどん不便で遠いものになっています。そうやって農家と農協の間の溝をどんどん広げておいて、さらに農協を弱体化しようなんて、本当に許せない攻撃です。


訂正 10月9日号にて、以下の訂正がありました。
 10月2日付1面「追いつめられて解散へ、総選挙で安倍政権に審判を」の声明のなかで、総選挙の公示日が10月12日とあるのは、10月10日※1の誤りでした。
 2017年10月16日、訂正しました。

(新聞「農民」2017.10.2付)
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2017年10月

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