TPP上回る
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安倍政権は7月6日、日欧EPA(経済連携協定)の「大枠合意」を発表しました。しかし、この大枠合意は、ISDS(投資家と国家の紛争解決制度)などを棚上げにした見せかけの「政治的な合意」であり、最終合意ではありません。先の東京都議選で自民党が歴史的大惨敗を喫し、7月の世論調査でも政権不支持が支持を上回るなど、ボロボロの安倍政権を「外交成果」で浮揚させることを狙ったもの。これからの運動でストップできます。一方で「暫定発効」への警戒が必要です。EU(欧州連合)は、韓国やカナダとのFTA(自由貿易協定)で、関税などを抜き出して各国議会の議論を封じて暫定発効させています。日欧FTAの「暫定発効」に期待する日本政府の姿勢は言語道断です。最終合意させないためにも、交渉経過や影響評価、協定文の情報公開を求め、日欧EPAが国民のくらしを壊す危険な協定であることを暴露し、国民的な運動へと広げましょう。
ところが日欧EPAでは、ハード系チーズの関税撤廃にとどまらず、ソフト系チーズの低関税輸入枠を現在の輸入量に匹敵する2万トンから毎年3%増加させ、16年目には3・1万トンまで拡大します。しかも、枠内の税率は16年目には撤廃。事実上の関税全廃です。国内の需要増は、0・3%にすぎず、国産生産を圧迫することは明らかです。
日本の乳用牛の飼育頭数は、ピークである1985年の211万頭から135万頭まで減り、酪農家の戸数は、85年の8・2万戸から、16年には1・7万戸に減少。日欧EPAの農業合意は、弱体化している日本の酪農に追い打ちをかけるものです。
北海道をはじめ全国で、小規模のチーズ工房が地元の牛乳を活用し、独自のチーズ作りが伸びています。多くのチーズ工房はヨーロッパを手本にしており、欧州チーズとの競合は避けられません。
EU側の公表文書は、「日本の豚肉関税はほとんどなくなるに等しい」と勝ち誇っています。スペインのイベリコ豚など、EU産は消費者からのイメージも良く、輸出余力もあり、影響はTPP以上です。
ビスケットの13〜20%の関税も6〜11年目で撤廃。同様な事態が想定されます。
また、競争力の強いヨーロッパ産チョコレート菓子の関税も11年目に撤廃され、国産砂糖の売り先が奪われ、国内の甘味資源産地への影響が懸念されます。
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8月29日に行われた「日欧EPAを考える院内集会」 |
国産材の自給率は、2002年の19%から15年の33%に回復していますが、日欧EPAは、この動向を圧迫します。
日本の油脂メーカーは、カナダなどから遺伝子組み換えナタネを輸入して、国内で搾油してきました。国産ナタネは遺伝子組み換えではないナタネ油として差別化して販売。しかし、ヨーロッパから遺伝子組み換えでないナタネ油が安く輸入されれば、生産者を直撃することは必至です。
[2017年9月]
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