「農民」記事データベース20170417-1259-01

農民連・農民連ふるさとネット・奈良県連

担い手づくりシンポ開く
(1/2)

新規就農者の育成や
地域活性化にヒント

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 農民連と農民連ふるさとネットワーク、奈良県農民連は3月30、31の両日、担い手つくりシンポジウムと先進地視察を奈良県内で行いました。
 農村の高齢化と人口の減少が続く中、地域の次代を支える担い手の育成は急務です。農民連とふるさとネットは昨年12月に「担い手づくりの制度・実践学習交流会」を開催し、千葉、埼玉県などの実践例を交流しました。


新規就農者の受け入れで
地域に大きな変化が起こる

 17道府県からのべ210人

画像  今回は担い手育成の先進地である奈良県の取り組みを視察し、各地域に生かそうと企画。北は北海道から南は福岡まで、17道府県からのべ210人が参加しました。

 1日目はシンポジウム「農山村の担い手づくり、地域の活性化フォーラム」が明日香村の中央公民館で行われました。明日香村の森川裕一村長と県農林部の石川道夫さんも参加。森川村長は「日本の原風景である農村の風景を守りたいが、耕作放棄地が20・6%に達し、担い手をいかに確保するか苦悩している。みなさんの先進事例を参考にしたい」とあいさつしました。

 主催者を代表してふるさとネットの根本敬代表は「自然の中でしか生きられないことを人間が見失っている気がしている。若い人たちを農村に呼び込むには価値観の転換が必要ではないか。われわれが新しい価値観を作り出すきっかけとしてほしい」と話しました。

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会場の明日香村には多くの若者が新規就農しています

 先進的事例に参加者は驚嘆

 4人の報告者が地域の取り組みを報告しました。(詳細は後日掲載)

 奈良県農民連会員で宇陀市の(有)山口農園会長、山口武さんは47歳で就農してからの歩みと、研修受け入れの経緯を報告。

 地域おこし協力隊隊員として吉野川(紀ノ川)上流の奈良県川上村に入った神保大樹さんは、地元の人が野菜を出荷し、地域の社交の場にもなっている土曜朝市「やまいき市」の立ち上げを紹介しました。

 福井県若狭町の産業課職員、原田太輔さんは米単作地帯での担い手づくりとして、都会からの移住者を受け入れるために行政と地元農業者、支援企業が共同出資で設立した農業生産法人「かみなか農楽舎」の取り組みと成果を報告しました。

 奈良県農民連会長の森本吉秀さんは「村の農業委員会長の時に30年間で3人しか後継者がいないことに驚き、村外からの受け入れに力を入れてきた」と当時を振り返り、新規就農者を受け入れている集落営農の代表者や、新規に就農している青年を紹介しました。

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シンポジウムでの討論(左から森本さん、山口さん、神保さん、原田さん)

 新規就農者の相談どこでも

 報告を受けて行われた討論では、新規就農者の就農後の支援について質問が出ました。山口農園では、独立した生産者の農産物は全量買い上げて同一ブランドとして販売すること、かみなか農楽舎では受け入れ先の親方となる生産者が支援を行うこと、奈良県連では、組合員の強固なネットワークが県内全域にあることで、新規就農者がどこで就農しても相談できる、などの支援体制も語られました。

 また地域おこし協力隊の希望者と地元のマッチングをどうしているのか問われ、川上村役場の松本勝典さんが「希望者からやりたいことを出してもらって、選考を行っている。採用前に村内の見学ツアーも行う」など、慎重に見極めていることが示されました。

 地元以外から新規就農者を受け入れた後、地域では「地元の若者が就農者の姿を見て農業をするようになった」(原田さん)、「地元の人間が使い切れていない資源に気づいてくれている。宇陀市では、もっと地元の食材を給食で使おうというプロジェクトがはじまった」(山口さん)などの変化も起こり、地域活性化につながり始めています。時間いっぱいまで議論が行われ、少しでも地元に持ち帰ろうと参加者は熱心に話に聞き入っていました。

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山口農園での袋づめの作業を見学

 地元野菜使った料理で舌鼓

 夜の懇親会では、地元の農民連組合員の野菜を使った料理が出され、参加者は舌鼓を打ちました。

         □ >>〔次ページ〕

(新聞「農民」2017.4.17付)
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2017年4月

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