基調報告小規模沿岸漁業者保護の視点で
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私が危惧するのは、「現在の漁獲規制では、中大型巻き網漁業は残れるが、沿岸漁業者の多くは廃業になってしまう」ということです。
世界的に見れば、FAO(国連食糧農業機関)が95年に採択した「責任ある漁業のための行動規範」でも、「漁業管理にあたっては、沿岸・小規模漁業者が保護されるべき」と明記されていますし、「過剰漁獲能力」、つまり大規模な巻き網漁業などの漁獲量をまず抑えるべきだということも明記されています。しかしこうしたことはあまり知られておらず、日本の水産政策にも明確に位置づけられていません。
いま沿岸漁業者が取り過ぎだと非難されていますが、漁法別漁獲量を見ても、本当に問題なのは漁獲量の多くを占める大中型巻き網漁法ではないでしょうか。
しかし、現在の小型マグロ漁獲割り当てがどうなっているかというと、沿岸漁業は2007トン、巻き網漁業は2000トンです。マグロ漁の許可を持つ沿岸漁業者は全国で約2万4000隻もいる一方、マグロ巻き網漁業は13船団しかいないにもかかわらず、です。
いま、本当に「海が枯れている」状態です。マグロだけでなくイワシもサンマも、サバも、イカも取れなくなっています。そこで訴えたいのが「持続的な資源の利用を考えよう」ということです。産卵場所など魚にとって繊細な海域である沿岸での漁業は、資源のバロメーターです。海の環境を守るためにも沿岸漁業者が成り立っていく必要があるし、そのためには漁獲規制に伴う減収には直接補償をしてほしい。透明性あるルールが必要です。
[2017年3月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
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