TPP座礁後初のメガFTA交渉日・韓・豪政府が
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関連/日・韓・豪政府が多国籍企業を代弁 /TPPの内容をRCEPに持ち込むな /われわれ農民はRCEP(アールセップ)を通じた新たな農業つぶしの動きを許さない |
日本を含むアジアやオセアニアの16カ国が参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP(アールセップ))の事務レベル会合が3月3日までの5日間、神戸市内で行われました。
17回目となる今回の会合は、アメリカの離脱でTPPが座礁したのち初めて開かれる巨大自由貿易協定(メガFTA)の会合。多国籍企業の利益を最大化するためのTPPが各国国民の抵抗でつぶされた教訓に学び、新たな貿易秩序づくりに向けた動きがみられるかが注目されました。
しかし、TPP署名国でRCEP交渉にも参加する日本、オーストラリア、ニュージーランドや、アメリカとFTAを結ぶ韓国が、TPPの核心である高度な自由化、ISDS(投資家対国家紛争解決、企業が国家を訴える権利)、製薬企業や農薬・種子企業のための知的財産権の強化に固執し、多国籍企業の代弁者として振る舞う姿が浮き彫りになりました。
交渉は、こうした提案に対して、インドや中国、ASEAN(アセアン)の同意が得られず進展のないまま閉幕しました。
PECRによる記者会見 |
交渉監視で得た情報や報道、リーク文書などによると、対立が大きいのは、物品・サービス貿易、投資、知的財産など。農産物を含む物品貿易と、サービス貿易では、日本、オーストラリア、ニュージーランドが自由化度をTPPに近づけるよう求めてきました。
ISDS条項を盛り込むよう提案しているのは日本と韓国。医薬品の知的財産権強化を提案しているのも日韓両国です。
途上国で人道支援を行う国境なき医師団は、日韓提案が採用されればジェネリック医薬品の入手が困難になり、多くの人の命が脅かされると警告。TPP亡き後のRCEPが「医薬品入手の点で最悪の協定となる可能性がある」と警告し、日韓を名指しして提案撤回を求めました。
RCEPが日本とアジアの農業にもたらす被害に警鐘を鳴らすため、農民連はポジションペーパーを作成し(3面参照)、会合に訪れた交渉官や記者に手渡しました。
さらに、NGO、学者、専門家、労組とともに「RCEPに対する国際市民会議」(PECR=ペクル)の結成にも参加。交渉監視や情報収集を行うとともに、抗議行動、公開フォーラムを行い、RCEPの問題点を訴えました。
TPPのような保秘契約がないのに交渉内容を秘密とする日本政府に対して、国際市民会議は、市民向けステークホルダー会合(交渉内容の説明会)を開くよう再三要請。開催通知が直前で、通訳なしの英語のみで開催されるなど不十分だったものの、渋っていた日本政府に2度開催させました。
アピール行動参加者のみなさん |
アピール行動はお昼時、RCEPの交渉会場から昼食会場の建物に移動する交渉官らに向けて、「種子は私たちのものだ!」と英語と日本語で書かれた横断幕などを持って、デモンストレーションしました。
「TPPをRCEPに持ち込むな」「交渉テキストの公表なしに交渉するな」などのプラカードを掲げながら、「ISDS、ノーウェイ!(=ISD条項はいらない!)」と元気にコール。ゾロゾロと通りかかった交渉官らも注目し、さっそくスマートフォンを取り出して、パチパチと写真を撮る人が相次いでいました。
アピール参加者に質問をしてきたある途上国の交渉官に、市民や農民も多国籍企業による知的財産権の独占に強く反対していることなどを伝えると、「途上国にとってジェネリック薬品は絶対必要なもので、こうした市民の声があることは心強い。私たちも交渉の場でがんばらなければ」と話し、昼食会場へと入っていきました。
レイド・スミスさんは特に多国籍大企業が独占している知的財産権の保護をめぐって「TPPでのきわめて強い条項がRCEP交渉でもコピーされている」と指摘。日本で主要農産物種子法が廃止されようとしている動きにも触れつつ、「商業資本が種子市場に参入すれば、種子の価格が上がりかねない。UPOV91条約は今でも長すぎる特許期間の根拠となっており、RCEPでUPOV91条約が義務化されれば、各国の意思で特許期間を短縮することもできなくなってしまう」と警鐘を鳴らしました。
27日の夜には、海外NGOを招いた交流会が開かれ、兵庫県農民連が米や豚肉、在来種の紅芯大根などのさまざまな野菜、大豆、シイタケ、果物など、多様な食材を提供。新鮮な野菜をたくさん使い、目にも鮮やかで美しい料理は、海外ゲストにも大好評でした。
[2017年3月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
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