「農民」記事データベース20150629-1171-01

いま考えよう
日本の食料自給率

巨大ファストフードチェーン
マクドナルド ピザハット
相変わらず自給率ゼロ

関連/いま考えよう 日本の食料自給率
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 先進国中最低の食料自給率の日本。安倍政権は、自給率の向上に背を向ける政策をとり続けています。日本の食料自給率の実態はどうなっているのか、特集します。


世界中からの“かき集め”食材

 街中のあちこちにファストフード店やファミリーレンストランなどが建ち並ぶなか、ランチ代わりにハンバーガーやピザを食べる人も目立ちます。まずは、子どもたちもよく食べるハンバーガーとピザ。その原材料の原産国を調べてみました。

ハンバーガー

 昨年、中国工場での期限切れ牛・鶏肉の使用や、相次ぐ異物混入事件などが明るみにでたのをきっかけに、「食の安全」を求める消費者からの信頼を失い、底なしの業績悪化に苦しんでいる日本マクドナルド社。新聞「農民」では2000年11月にもマクドナルドのハンバーガーが「自給率ゼロ%」であることを報じてきましたが、少しは輸入食材頼みは改善されたのでしょうか?

 長年にわたって食材の原産国表示を固く拒んできたマクドナルド社も、消費者の厳しい声と業績悪化に直面し、とうとう昨年からホームページ上で原産国を表示するようになりました。しかし、ほぼ「自給率ゼロ%」であることは、全く変わりなし。

 牛肉やチーズはオーストラリアとニュージーランド産、中国産を切り換えた鶏肉は全量タイから、ポテトは全量アメリカ産…。やっと見つけた「国産」の食材はレタスとトマトだけ。それも全量国産ではなく、レタスは台湾やアメリカから、トマトはアメリカからも輸入されています。キュウリのピクルスは国産ゼロで、トルコ、スリランカ、インドから。

日本産ふやすとは一言もなし
輸入依存に消費者の厳しい声

 消費者離れで業績悪化招く

 厚かましくも「食の安心のために」と大々的に宣伝するマクドナルド社ですが、ホームページをすみずみまで読んでみても、「日本産を増やします」とは一言もありません。“中国スキャンダル”に「反省」を表明したはずなのに、あいもかわらず「自給率ゼロ」「輸入食材ほぼ100%」を今後も継続する姿勢が、さらなる消費者離れ、業績悪化を招いているのです。

ピ ザ

 2600億円の市場規模を誇るピザ業界も、自給率は限りなくゼロに近いのが実態です。

 ケンタッキーフライドチキンも傘下に有する三菱商事系の日本KFCホールディングス株式会社が展開する宅配ピザ大手「ピザハット」も、ホームページで食材の原産国表示をしています。しかしこちらも、国産食材は生鮮のトマトやピーマンくらい。チーズはアメリカ、ニュージーランド、オーストラリア、サラミなどの牛肉加工品はオーストラリアなどから、豚肉類はアメリカ、カナダ、チリ、メキシコ、グリーンアスパラはチリ、ブロッコリーはエクアドル…などなど、その“国際色豊か”な原産地に、目もくらむばかりです。

 ハンバーガーもピザも、ほとんどの食材が外国産で、自給率はほぼゼロ。いくら食べても自給率の向上に役立たない、自給率とは無縁の食品です。

 なぜ日本の食料自給率がこんなに低いのか。その原因と問題、解決策についてみていきます。

(新聞「農民」2015.6.29付)
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2015年6月

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