「農民」記事データベース20150504-1164-08

原発も温暖化もない未来つくろう
(3/3)

気候変動を止めるのは今だ!

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温室効果ガス削減
安倍政権は積極的な目標掲げよ

 では、日本の安倍政権の温暖化防止政策はどうなっているでしょうか。

 安倍政権は、福島原発事故以降、原発がほとんど稼働されていないことから、「長期エネルギー政策が固まらないと、温室効果ガスの削減目標も議論できない」として、国別の削減目標も期限の3月までには出せませんでした。

 そんなさなかの4月24日、政府が「削減目標を25%程度(2005年または13年比で)」とし、電力については2030年の時点で「原子力を20〜22%」「再生可能エネルギーを22〜24%」とすることで、大臣間の調整に入ったと、大手メディアがいっせいに報道しました。

画像  この安倍政権の姿勢に、「意欲のない温室効果ガス削減目標は受け入れられない 原発ゼロで温暖化対策の深堀をすべき」(気候ネットワーク)、「公平でも科学的に妥当でもない目標案、これでいいのか、日本?」(WWFジャパン)など、環境NGOから厳しく批判する声明がいっせいに上がっています。

 国内の環境NGOの多くが参加するNGOネットワーク「CANジャパン」はこれまでにも、温暖化防止やエネルギー政策に対して、(表―U)のような提案を発表し、日本も積極的に温暖化防止に取り組むよう、強く求めてきました。安倍政権の姿勢は、こうした市民の声にまったく背を向けるものです。

 政府は原発回帰

 この政府案は問題点ばかりですが、なかでも大きな問題の一つが、温室効果ガス削減と表裏一体であるエネルギーミックス(電源構成)の議論で、大前提となるエネルギー需要をなんと増加させる想定になっている点です。ここには省エネルギーの観点はまったくありません。

 再生可能エネルギーについても、「22〜24%」という数字には、従前の大規模水力が含まれ、太陽光や風力、バイオマスといった本来の自然エネルギーは13〜15%程度と、とうてい大幅に増やすとはいえない内容となっています。

 そしてさらに問題なのが、原発の推進です。福島の原発事故を直視せず、まるで事故などなかったかのごとく原発に回帰する安倍政権の姿勢が明確に示されました。

 財界いいなり

 それにしても、安倍政権はなぜこんな温暖化・エネルギー政策しか示せないのでしょうか?

画像  そこには、自民党政権の財界いいなり、大企業優遇という根深い体質があります。実は日本の温室効果ガスは、大部分が一部の大企業から排出されています(円グラフ)。つまり、日本の温室効果ガスの削減は、大規模排出源での削減規制なくして、実現できないのです。

 最大の排出源は発電所ですが、CO2を多く排出する石炭発電をやめて天然ガスに転換するなどすれば、削減の余地はまだたくさんあります。しかし財界は「燃料価格が安いから」との理由で、石炭火力発電や原発を「ベースロード電源」としてさらに増やせと主張し、それがまともな国民的議論もないまま、取り入れられています。

 本来、化石燃料をすべて輸入に頼っている日本にとって、化石燃料を減らし、再生可能エネルギーへとエネルギーシフト(転換)することは、国富の流出を防ぎ、地域循環経済の活性化にもつながる道筋のはずです。日本には自然エネルギーの潜在的可能性も、導入技術も、十分にあります。(表―V)あとは温暖化防止、エネルギーシフトへと、政治の方向をしっかり定めることこそが、求められているのです。

(新聞「農民」2015.5.4付)
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2015年5月

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