茨城農民連
燦々(さんさん)プロジェクト
みんなでつくろう市民発電所
ただいま出資者募集中
市民が資金を出し合い、共同して太陽光発電の発電所をつくろうという「市民共同発電所」の取り組みが、茨城県で進んでいます。名付けて「茨城農民連燦々(さんさん)プロジェクト」。茨城農民連のほか、県南筑波農産センター、市民NPO「いばらき市民エネルギー」が協力して、「合同会社市民ソーラー産直ネットいばらき・県南筑波」を設立。「自然エネルギーで地域農業を守り、原発に依存しない社会をつくろう!」と、いま、市民からの出資者を大募集中です。
自然エネルギーの実践で
原発に依存しない社会に
多くの人に参加してもらいたい
きっかけは、福島原発の事故でした。「県南筑波農産センターの農産物も風評被害を受け、とくに無農薬・完全有機栽培で作ってきたお米がパタリと売れなくなってしまいました。農民連食品分析センターで放射能検査して“検出せず”という結果ですが、いまだにお客さんは戻ってきません。やはり原発はだめ。原発に頼らない社会を作りたい、それがこのプロジェクトに込められた思いです」と、同センター代表理事の細田正幸さんは言います。
建設予定地は、美浦村に確保。雑種地で耕作放棄同然だった土地です。建設規模は49・5キロワットを3基、計画しています。総事業費5600万円のうち、1000万円分を市民出資で募っています。
市民出資は、1口10万円で2口から申し込む「資本出資」コース(目標分配利回り1・8%、期間12年)のほか、5万円または2万5000円の参加費で、農産物を年に1回、12年にわたって届ける「産直品お届け」コースもあります。
「このプロジェクトで大切にしているのは、多くの人に参加してもらえるということです。自然エネルギーを普及して原発をなくしたい、そしてその収益を地域の農業を守る運動に生かしていきたい、その思いを多くの人と共有し、運動として広げていきたいのです」と語る県南農民組合の山口徹事務局長。
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細田さん(左)の会社の太陽光発電所(茨城県阿見町)に立つ細田さんと山口さん |
まずは個人で実績つくって
この出資募集を始めるまでにも多くの難問に遭遇してきました。農協法の法律では、農事組合法人である県南筑波農産センターはセンターの施設以外での発電事業は認められておらず、耕作放棄地を利用した太陽光発電をするには、新しい会社組織をつくって取り組むしかありません。しかし何千万円もの資金運用が絡む話でもあり、当初、新会社設立にはセンターの役員の意見も割れたと言います。
しかし再生可能エネルギーの固定価格買取制度も施行され、「自然エネルギーは必ず農業・農民の力になる」と確信した細田さんは、まず個人で太陽光発電事業に挑戦。個人で会社を設立し、信金から資金を借り入れて、49・5キロワットを4基、建設しました。「今年4月から売電が始まったのですが、当初の計画よりずっと発電効率が良く、8月は150万円もの売電価格になりました。返済額は1カ月70万円ですから、米価が暴落しているなかで、とても助かっています」と細田さん。
他の会員でも太陽光発電の取り組みが増えていることもあって、こうした太陽光発電の安定的な収益性が“実績”として会員の信頼につながり、
「自然エネルギー事業を農民運動の力にしていこう」という機運へと発展していきました。
かわいいヤギが除草に大活躍
阿見町にある細田さんの会社の太陽光発電所を訪ねると、かわいいヤギたちが出迎えてくれました。ヤギが敷地内の除草をしてくれているのです。「ヤギは高いところが好きで、パネルに乗ってしまうのですが、強化ガラスだから大丈夫。毎日、水やりと様子を見に来ていますが、エサは雑草だけでもいたって健康です」と細田さん。世話などの課題もありますが、出資募集中の市民発電所でも“ヤギ除草”を検討しています。
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ヤギが除草に大活躍 |
▼問い合わせ、連絡先 県南筑波農産センター TEL 0297(70)3504※1(受付時間 月〜金午前9時〜午後5時) Eメール kennan-net@vanilla.ocn.ne.jp
※【訂正】 9月29日号にて、以下の訂正がありました。
9月22日付4面「茨城農民連 燦々(さんさん)プロジェクト ただいま出資者募集中」の記事で、連絡先の県南筑波農産センターの電話番号がまちがっていました。正しくは、TEL0297(70)3504※1です。お詫びして、訂正いたします。
2014年10月6日、訂正しました。
(新聞「農民」2014.9.22付)
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