若手農家が集い
活発に意見交換
新しい農家像・農業観を
われら若手農家の手で築こう
“われわれがめざす農業とは?”
ニュー・ファーマーズ・ワークショップin茨城
今年で5回目を迎える産直組織の青年交流会、「New farmer‘s workshop (ニュー・ファーマーズ・ワークショップ)in茨城」が茨城県土浦市の霞ケ浦環境科学センターで行われました。関東近県をはじめ高知県、和歌山県など遠方からも参加者が集まり、85人がメーンテーマ「われわれがめざす農業とは?」に沿って熱く語り合いました。
|
霞ヶ浦の周囲一面に広がるハス田=茨城県土浦市 |
定期的に開催し意見交換の場に
交流会の定期的開催を目指して今回から立ち上げられた実行委員会の代表、高橋芳文さん(千葉県多古町)はあいさつで「農業が大きな転換期を迎えているなかで、これからの農業を担っていく世代が、新しい農家像、農業観を築き、共有していくことが必要ではないでしょうか。そのうえで、TPPなどの農政が正しいのか自分たちで判断していくべきではないでしょうか。そのためにみなさんが集まって意見を交換する場として、このワークショップが有意義なものになるよう努力していきたい」と話しました。
|
あいさつをする実行委員会代表の高橋芳文さん |
開催地の茨城ふるさと産直ネットワークの紹介が行われたあと、コープネット事業連合や東都生協など参加している生協から活動報告が行われ、各生協の産直にかける思いや、若手農家への支援などが語られました。
流通の変化に合わせた対応を
メーン講演は岩手大学農学部教授の佐藤和憲さんが「青果物流通の現状と産地の今後のあり方」というタイトルで講演。消費者の青果物購入先の変化や、外食・中食の増加という食の外部化に伴う加工、業務用野菜の増加といった現象を踏まえつつ、「実需者のニーズに合わせた対応や、小口低コスト物流、担当者を明確にした営業体制の確立が必要になってくる」と話しました。
参加者からは「イオン農場の社長から『1キロ114円で米を作れるか。TPPでこのくらいが競争のラインになる』と言われたが、どうなのか」と質問があり、佐藤さんは「専門ではないので明確には答えられない」としたうえで、「国内の農業を守れというのは、まったくおかしなことではない。アメリカもEUも直接支払いなどの国内農業の保護制度があるが、全く報道されていない。農業者はもっと大きな声を上げてもいい」と答えました。
7つの分科会で青年らしく討論
続けて8人ほどのグループに分かれての分科会で、7つのテーマについて討論を行いました。「農業でどうやって生き残りますか」というテーマでは、「ヨーロッパなどでは消費者に農業を守るという意識があり、農家もそれにこたえて安全を高める努力をしている。消費者に理解を求めるには、直接、交流などで結びつくことが必要ではないか」という意見がでて、それぞれの産地ですでに取り組まれていることも話し合われるなど、各分科会でざっくばらんに、活発に討論が行われました。
2日目は茨城ふるさと産直ネットワークに属する各産地の青年がそれぞれの組織の紹介をプレゼン。各産地の特徴や生産物を青年の活動にも目を向けながら説明していきました。
現場のはなしを聞くことが勉強
1日目の会議に参加したカナダからの留学生エミ・ドゥさんは、福島県相馬市で行われた田んぼアートの田植え交流会がきっかけでこの集まりに参加。この4月から大学院で農協について学んでいるエミさんは、カナダのバンクーバーで野菜を作りながら10人で農協を立ち上げたこともあります。「農協の運営などでいろいろな問題に直面していたので、勉強のために日本にきました。今回の交流会に参加してとても良かったです。農家の立場の情報は自分で調べてもなかなか手に入りませんでした。学校の勉強だけではなく、現場で話を聞くことこそ勉強だと思い参加しましたが、大切な話を聞けました。農民連の取り組みにも興味があるので、機会があれば参加したいです」と話していました。
|
参加者全員で記念撮影 |
参加した生産者からは、「消費者との直接のつながりが大事なことが分かりました。仕事をするために仕事をするのではなく、人生をより豊かにするために仕事をしたい」「同じ農業者ではありますが、栽培している作物が違えば毎日の動きや内容も異なるので大変な刺激を受けました。様々な場所にうかがいますが、最も意識のある集まりです。今後とも継続してほしいと思います」などの感想が寄せられました。
訂正 1129号(8月11日付)4面「完熟スチューベンジュース」の写真説明で「ジュースの製造者である須藤貞次郎さん」は「須郷貞次郎さん」の誤りでした。おわびして訂正します。
(新聞「農民」2014.8.25付)
|