「農民」記事データベース20131021-1090-09

シリーズ
食品表示を考える
[8]

主婦連事務局長 佐野真理子


健康食品表示は混乱の渦中

 前回お知らせしたように、いわゆる健康食品をめぐっては大きな問題が発生しています。

 9月には東北薬科大学研究グループによる新たな研究成果が発表されました。特にダイエット向けの健康食品を医薬品と併用すると、医薬品の効き目が落ちる傾向にあることを指摘しています。健康食品と医薬品とを併用している消費者が多いなか、とても重大な意味を持つデータです。

 8月、国民生活センターは2012年度に約2万7000件の健康食品に関する苦情相談が寄せられたことを公表。前年度の約2・7倍に急増しました。

 これは、あいまいで、暗示的な表示・広告が多く、ほとんど野放し状態と言えるなか、高齢者への「送りつけ商法」など、悪質で過剰な販売促進が横行したためです。

 食品表示を管轄している消費者庁が8月にまとめた施策によると、10月には消費者の意識調査を実施する、また、健康食品の表示ガイドラインを改定し、体験談などの「間接的・暗示的な表示・広告」への対応を検討するとのことです。

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消費者庁が入っている山王パークタワー(東京都千代田区)

 しかし、違反表示に対する取り締まりについては、都道府県に景品表示法に基づく行政処分の権限を付与しないと表明するなど、本気で消費者被害の防止を考えているのか、疑問に思える姿勢も目立ちます。

 今、表示制度は混乱の渦中にあります。このままでは消費者被害は防止できません。「規制改革会議」が主張するような表示の緩和ではなく、抜本的な対策を求めていきましょう。

(つづく)
(月1回掲載)

(新聞「農民」2013.10.21付)
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2013年10月

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