シリーズ
食品表示を考える
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主婦連事務局長 佐野真理子
健康食品の表示は野放し
食品表示法の施行は制定から2年以内です。しかし、それ以前に重大な表示改革が実行されることが6月下旬、閣議決定されました。総理の諮問機関である「規制改革会議」が提示した「いわゆる健康食品の機能性表示制度の導入」です。閣議決定を受け、今年度から検討に着手し、2014年度に実施することが消費者基本計画にも急きょ盛り込まれました。
「いわゆる健康食品」については、表示、安全性、販売方法など、多面にわたる問題点が指摘されています。全国の消費生活センターには毎年約1万件規模で消費者苦情相談が寄せられています。
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健康食品のチラシ |
特定保健用食品(トクホ)や栄養機能食品など、一定の国の関与がある食品とは異なり、「いわゆる健康食品」には登録・届出制度もありません。規制改革会議は、その食品群について、企業の責任で機能性表示(効能・効果表示)を付けることを許可する制度の導入を提案したのです。
しかし、現状ですら、それら健康食品の表示は野放し状態で、「体調に良い」「体に良い」などのあいまい表示から、「がんに効く」「病気が回復する」など、禁止されている効能・効果表示がまん延しています。
新しい食品表示法は、広告を規制対象に含めていませんから、消費者を惑わす表示はいっそう横行するでしょう。規制の強化が必要なときに、規制を緩和する施策を提示することは本末転倒です。
消費者目線を欠如させた「いわゆる健康食品の機能性表示制度」の導入は消費者にとっては新たな被害発生の契機となり、問題が残ります。
(つづく)
(月1回掲載)
(新聞「農民」2013.9.16付)
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