TPP交渉阻止へ
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関連/TPP交渉阻止へさらに大同団結を /TPPシンポでの発言―― |
シンポジウム「このまま進めて大丈夫なの?TPP交渉」が9月14日、東京・文京シビックホールで開かれ、会場が満席になるほどの参加がありました。主催は、TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会、TPPに反対する弁護士ネットワーク、主婦連合会の3団体です。
日本の公的医療が(1)皆保険(2)いつでもどこでも誰でも受けられるフリーアクセス(3)保険証を持っていれば必要な医療を受けられる現物給付の3本柱をもち、世界最高の水準にある点を述べ、「最低限この3つは守られなければならない。医療の営利企業化を許してはならない」と訴えました。
会場からは、埼玉県の病院院長が「医療界が大同団結して危機感を共有することが大事。国民とともに医療従事者にもアピールしてほしい」と要望し、福岡県の歯科医師は「TPPに反対する国際連帯と患者団体との連携も必要ではないか」と求めました。
中川副会長は「TPPに参加する、しないにかかわらず新自由主義の流れは強まる。それとたたかっていきたい」と答えました。
互いに討論するパネリスト |
全国農業協同組合中央会の小林寛史農政部長は「TPPでアジア・太平洋の農業の多様性を維持できるのか」と疑問を投げかけ、「工業の輸出のしわ寄せを全部農業分野が受けるのはおかしい。政府は何のために貿易交渉に関与しているのか。きちんと区分けするべきだ」と語りました。
「いま大変怒っている」と切り出した東京大学の鈴木宜弘教授は、推進派による「聖域は守る」「医療・薬価制度は守る」「TPP断固反対」など、国民に対する数えきれない、うその山を批判し、「がんばったでは済まされない。止めるまでがんばろう」と呼びかけました。
主婦連合会の山根香織会長は「TPPによる影響は広範囲にわたる。消費生活をいっそう困難にし、暮らしをいっそう不安にさせる」と批判しました。
「このまま進めて大丈夫ではない」と述べた、TPPに反対する弁護士ネットワークの杉島幸生弁護士は「TPPであらゆる社会立法が制約を受ける。国会の立法権、自治体の条例制定権の侵害を引き起こす」と指摘し、「私たちの生活は、国民主権から多国籍企業主権になってしまう」と懸念を表明しました。
フロアから「競争で勝って輸出できるような農業になればいいという意見もあるがどうか」という質問が出されました。鈴木氏が「安い農産物が入ってきて市場が奪われ、輸出の前につぶれてしまう。われわれは高価なサクランボだけを食べるわけにはいかない。カロリーが高い米など穀物の自給率は維持されなければならない。1%だけ残ってどうするのか」と明快に回答しました。
会場を埋めつくす参加者。質問も多く活発な討論となりました |
また、「都会の道路を封鎖して食べ物が入れないようにすれば都会の人もわかってくれると言う人もいるが」とのフロアからの提案に対して、高橋氏が「都会も田舎もお互いに支え合って尊重し合うことが大事。貿易も一部の利益だけでなく、お互いが笑顔で希望のもてるものを」と述べ、大きな拍手を浴びました。
今後の課題として「国際的には、情報の民主化を求め、ロビー活動や国会議員へのアプローチを強める。日本の運動は期待されている。国内では、撤回、批准阻止を求める運動を強めたい」と訴えました。
最後に各氏がまとめの発言。飛行機の都合で先に席を立った高橋氏は「北海道では収穫が始まった。冬はマイナス30度にもなるが、必ず春がくるから希望をもってがんばれる。しかしTPPだと夜明けがない。豊かな大地を子どもたちにバトンタッチするために妥協せずにがんばる」と決意を述べ、聴衆から「がんばれ!」の声援が送られました。
各氏は「TPP問題に取り組んでみて、自分は愛国者だったことを実感した。大同団結を広げたい」(杉島氏)、「国のあり方、生き方を否定するのがTPP。危機感と切迫感を共有できた」(山根氏)、「多様な角度から議論できた。農林水産業にきちんとした国の政策が必要」(小林氏)と語りました。
鈴木氏は「1%対99%だ。99%の力を結集すればこの流れを止められる」と述べ、醍醐氏は「大学教員の会の支部があることを初めて知った。このような催しが全国に広がるよう願っている」と締めくくりました。
[2013年9月]
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