「農民」記事データベース20130923-1086-07

築地市場移転問題

現局面をどうみるか

東京都議会経済・港湾委員会所属
かち 佳代子都議(日本共産党)

関連/守ろう!守ろう!築地市場
  /現局面をどうみるか

 築地市場移転問題の現局面をどうみるのか。東京都議会で中央卸売市場問題を質議する経済・港湾委員会所属のかち佳代子都議(日本共産党)に話を聞きました。


今後の市場の役割を考えてこそ

現在地での再整備が最善

 土壌汚染あり市場移転は無謀

画像  最大の問題は、移転予定地である東京ガス工場跡地(江東区豊洲)の、高濃度のベンゼンやシアンなど有害物質による土壌汚染があることです。しかも、都の対策工事は、専門家から「絵に描いた餅」と酷評されています。欠陥対策工事で、そこに生鮮食品を扱う市場を移すのは無謀としか言いようがありません。食の安全・安心を守る立場からも大問題です。

 問題点の二つ目は、移転先での荷の動き方など市場機能の基本的な計画が良くみえていないことです。推進派の方からも、この点について課題が山積していると指摘されています。移転の費用は業者負担であり、水光熱費は大きく膨らむと予想されます。仲卸業者の約半数は赤字経営であり「移転先でも営業を続けられるのか」と不安を感じています。働く人たちの雇用が守れないのは大問題です。

 三つ目は、今までの市場機能が大きく変わってしまうことです。首都圏の大規模な基幹市場とすることで、周辺の卸売市場の再編が加速されます。規制緩和で、今まで市場で大きな役割を果たしてきた仲買人などが淘汰(とうた)され、大手量販店などに使いやすい物流センターに変質していきます。

 検討課題が多く建設工事は延期

 都は都民や卸・仲卸業者ら市場関係者の意見をよく聞かずに、「移転先にありき」で、強引に突き進めながら、土壌汚染対策費、建設費、用地取得費などの新市場整備費用は当初の約4000億円から4500億円に膨れ上がりました。都民の負担は増える一方です。

 現在、移転予定地では、土壌汚染対策工事が行われているだけで新市場の建設工事は未着工です。9月末に建設工事発注の予定でしたが、検討すべき課題が多く延期されたからです。

 こうして新市場開場は当初2014年度の予定でしたが、すでに15年度に延期されました。

 都民らの声きき市場の将来像を

 「移転先にありき」でなく、一度立ち止まって、再検討すべきです。移転する、しないの議論だけでなく、市場の役割を今後どうしていくのか、消費者、市場関係者、農家、漁民の利益になる市場とは何か、などの将来像を、みんなの声に応えながら進めていくことが求められています。

 共産党都議団としては、現在地、築地での再整備が最善だと考えます。6月の都議選で、日本共産党が議席を8から17に倍増させたことは、都民の声を聞かずに強引に推進する猪瀬都知事と、自民、公明、民主などオール与党への批判、そして日本共産党への期待が込められた結果だと思います。都にさらなる情報公開を求めながら、都民と市場関係者の声を聞いて、みなさんと力を合わせて問題の解決に全力をあげる決意です。

(新聞「農民」2013.9.23付)
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2013年9月

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