「農民」記事データベース20130729-1079-07

食糧主権、
アグロエコロジーの実践さらに
(2/3)

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参加者の感想

私たちの産直の取り組みを紹介

藤嶋 嘉子

 「農民は人類にイノチの根源となる食糧を提供する崇高な役割をもっている」「イノチの倫理は資本主義・新自由主義と相いれない」。このことが世界農民のパワーとともに得られた強烈な体感です。

 「食糧主権とはいったい何か?」、「食のあり方をみんなと考えるよい機会になれば」と、「世界農民組織ビア・カンペシーナ」を紹介しながら幅広いカンパを呼びかけ、「ガンバレ!エール」と一緒にたくさんの方からカンパが寄せられました。

 会議の前のミスティカから最長で夜の10時半までの会議に万全の体調で臨みました。

 日本の代表メンバー全員に発言の機会があり、私は「作る人と食べる人のこころが通うサンチョク運動」という農民連の取り組みを紹介し、「食糧主権や持続可能な農業を願う農民たちと消費者の寄付で世界会議に参加できた」と発言。最後に日本語の「ガンバロー!」が3回会議場にこだましました。

 「2005年にWTOは死んだ。私たちは香港に集まりたたかった」と、私がWTO香港行動に参加した意義が今回ようやくわかりました。

 今は、自分に与えられた持ち場から食糧主権という目標に向かって“草の根の運動を続けること”が、世界を変えることにつながるのではないかと思いました。

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かき餅を調理する松本さん(左)と関根さん=11日


女性の地位向上へ 力にみちた総会

佐々木 賀代子

 6月6、7両日に行われた女性総会に参加しました。女性部の方から預かった折り鶴を携え、飛行機に乗り込みました。

 総会会場の正面に「第4回女性会議、食糧主権のため小農民女性たち団結せよ」の大きな垂れ幕。参加者が持ち寄った種子や地元の農産物と一緒に折り鶴も飾りました。

 どの国でも多国籍企業により農地を取り上げられ、家族農業ができなくなっていること、環境破壊や農地の汚染が進んでいること、一握りの大企業による種子の独占の現状などが報告されました。女性の地位の低さ、教育での差別、貧困や暴力なども大きな問題として取り上げられました。

 グループ討論の中で発言の機会があり、原発事故で今なお多くの人たちが苦しんでいること、原発事故は資本主義がもたらした最悪の環境破壊、生活破壊、暴力であること、そして命の糧を生み出す農業とは絶対に共存できないこと、原発ゼロを求め多くの方々と連帯した運動をしていることを伝えました。

 最終日の閉会集会では、モンサントやアグリビジネスが農家を苦しめるという寸劇に始まり、インドネシアの踊りを全員で踊り交流して終わりました。ラテンアメリカの女性たちの元気な掛け声など、女性の地位向上を求めるエネルギーに満ちた2日間でした。


総会成功のため全員の力感じた

曽根 陽一

 総会に参加し、感じたことは2点ありました。

 1点目は世界規模で農民が団結し、多国籍企業による土地収奪やアンフェアな貿易に対し抗議・抵抗運動を行っていること。世界各地からさまざまな運動が紹介され、そのどれもが私にとっては驚くべきことばかりでした。テーマも食糧主権、貿易、人権、生物多様性、持続可能な農業、女性、青年…とたくさんあり、恥ずかしながら普段いかに自分が何も考えていないのかを感じました。

 2点目は、ビア・カンペシーナという組織が、全ての構成員の意見を反映し行動を決定しようとしていること。討論し、結論を出すまでに何回も「まだ最終決定はしていません。意見のある方は紙に書いたものでもよいので本部へ提出してください」とアナウンスがあり、全員でこの総会を作りあげようという姿勢を強く感じました。

 会議以外の場では世界中の人々と接することができ、言葉は通じなくても、楽しい時間でした。

 最終日はインドネシアの方にジャカルタを案内していただき、インドネシアと日本の関係、ジャカルタの状況等を感じることができ、有意義な時間を過ごすことができました。


世界中の農民がともに行動して

高嶋 晶子

 世界を見るということは自分の視野を広げるきっかけになり、そこで出会ういろいろな人々の前向きな姿勢や考えに、大きな刺激をもらいます。今回の国際総会では、世界中の農民と出会い、強い結束とたくさんのつながりを持ちました。

 農業は世界産業です。農業なしではこの星は生きていくことができないと、土地、食料の大切さ、自然共同体の農業という仕事を誇りに思うことを改めて学びました。

 小さい力でできることは限られているけれど、ビア・カンペシーナを通して世界各国から同じ思想を持つ農民みんなが一緒になり行動を起こす、それが大きな力になると実感しました。”グローバリゼーション” という言葉に賛否はありますが、このように世界各国の農民とつながることが可能なのは、グローバリゼーションのポジティブな面だと思います。その機会を作っていただいたビア・カンペシーナのスタッフのみなさん、また、今回の国際総会に参加するにあたり日本からもたくさんの方々にご支援とご協力いただき、本当に感謝しています。

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「がんばろう!」と訴える藤嶋さん(右から2人目)と通訳の高嶋さん(その隣)=10日


TPP反対運動強化を痛感した

大木 傳一郎

 国際総会開会式で、代表のサラギ氏は「アジア諸国、日本で2国間及び多国間自由貿易協定に反対する大規模かつ戦闘的な行動が行われている」と発言。会場の万雷の拍手と歓声がとどろき、野田前首相の地元で「TPP反対直訴大集会」の運動を思い起こし感激しました。休憩時に久しぶりの再会にサラギ氏と握手しました。

 6月11日に東南・東アジア地域集会で発言の機会が訪れました。「米作り農民であること、国際会議参加の感想、原発による農業被害の実相、賠償請求について、再生可能エネルギーへの転換、TPP反対運動」について述べました。

 12日の食料フェステバルでは、世界各国・地域から持ち寄っての食べ物を交換。日本からのかき餅、京菓子、くず餅などは人気でした。

 圧巻は閉会式典とミスティカでした。会場は総立ちで鳴りやまぬ拍手、南アメリカ、アフリカの代表団の迫力に圧倒されました。

 続く「食糧主権の夜」での踊りの渦に「おかめ」と「ひょっとこ」のお面をして、祭り半てんを着込んだ2人の日本代表は注目され、たくさんのフラッシュを浴びました。

 食糧主権の確立を希求する国際連帯運動の重要性といっそうのTPP参加撤回を求める運動を強化しなければと痛感した日々でした。

(新聞「農民」2013.7.29付)
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2013年7月

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