「農民」記事データベース20130610-1072-10

国は円安・燃油高騰の責任とれ
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燃油高騰
農業でもピンチ

複合経営
高橋正巳さん(埼玉・本庄市)に聞く

 農業でも、燃油高騰は深刻な影響を与えています。施設園芸と露地野菜、米、麦などの複合経営をしている埼玉農民連の高橋正巳さん(本庄市)に話を聞きました。

資材2〜3割値上げ
化学肥料1割アップ

 米と小麦の二毛作を4町、露地野菜を7〜8反、加温のビニールハウスでミニトマトを25アール作っています。円安と原油高で、燃油のほかにビニールハウスの資材や化学肥料などもいっせいに値上がりしていて、施設園芸はいま、本当に利益が出ない状況です。

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赤く実ったミニトマトを手にする高橋さん

 うちで使う燃油は、ハウスを加温するためのA重油と、トラクターに使う軽油ですね。A重油を使って加温するのは、11月から4月半ばで、今年はずっと寒かったので、加温する期間が延びました。ひと冬でだいたい20キロリットル、200リットルのドラム缶を100缶くらい使うでしょうか。

 このA重油が、円安で燃油が高騰する前の昨年の秋には、1リットル75円ほどでしたが、今では90円を超えています。今の燃油価格のまま次の加温シーズンもいくとなると、燃料代だけで30万円もの経費増になってしまいます。

 ビニールなどの原油由来の資材も、2〜3割値上がりしています。施設園芸はこうした資材を使わずには作れませんので、経営努力といっても限界があります。6月からは化学肥料も1割ほど値上がりします。化学肥料は、製造過程でかなり電力を使うのですが、原発事故以降、電気料金も上がっているし、原材料もほとんどを輸入に頼っているので、これも円安がダブルパンチ、トリプルパンチで値上がりにつながっているのです。

経営努力もう限界
収入ほぼなくなる

 経費が高騰する一方で、野菜の価格はほとんど上がっていません。これまでも、わが家くらいの規模の施設園芸は経費がだいたい7〜8割で、生産者の収入は2〜3割でしたから、今回の円安による高騰で、農家の手取り収入はほとんどなくなったと言えます。あとは、本来は次の設備投資のために取っておくべき減価償却費を、生活費として食いつぶすしかないんですね。

 安倍政権の「アベノミクス」は、あまりに露骨な財界本位の経済政策で、本当に怒りがわきます。農民はそのしわ寄せをもろにかぶっています。

 今回の燃油・資材の高騰は、安倍内閣の経済政策による円安が引き起こしたものですから、政府が責任を持って、その被害を受けている人を救済するべきだと思います。

(新聞「農民」2013.6.10付)
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2013年6月

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