TPP参加阻止
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富山市で2012年12月1日、富山食健連や県JA、生協などの代表者6人が呼びかけ人になって、「ストップTPP県民集会」が開催されました。呼びかけ人となった6人に、TPP参加反対への思いや今後の取り組みについて、縦横に語ってもらいました。
大雨のなか行われたシンポジウム開催後のデモ行進=12月1日、富山市
しかし結果として総選挙ではTPPが争点になり、自民党の圧勝という結果になりました。これは自民党が掲げた公約が全面的に支持されたというよりも、「国民ための政治をしてほしい」という国民の期待によって生まれたはずの民主党政権が、約束と違う政治をしようとしたり、首相が代わるたびに政策や国の方向が変わってしまう――こうした民主党政治への国民の怒りと失望が現れた結果なのだと思います。ですから自民党には、おごり高ぶってもらっては困ります。国民が何を期待して投票したかを忘れずに政権運営してもらいたい。
私たちも組織として、TPP参加を懸念・反対しようという方々を草の根から結集して、国民的議論ができる場をつくっていかねばなりません。以前は他団体に申し入れに行っても、「TPPでたいへんになるのは農業だけで、とにかく農業を助けてくれというお願いだ」と受け止められることもありました。
しかし、TPPにはISD条項のような国の根幹にかかわる項目もありますし、食の安全や医療など国民全体にかかわる問題です。政府調達の外資への開放などでは建設業界も大打撃を受けるでしょうし、もっと広い分野の団体に「これはあなたの問題だ」とTPPの影響を具体的に説明して、共同していく必要性を感じています。やはりこうした議論を深めるうえでも、政府からの情報公開が重要だと考えています。
選挙期間中、地域の農家と対話しましたが、私が農業委員であることがわかると、多くの人から「田んぼを買ってくれる人はいないか」「米価が安くて、息子に“農家を継いでくれ”とか“休みを返上して農作業してくれ”とは言えない」という声が聞かれました。なかには「家族から“ばあさん、死ぬ時は棺桶(かんおけ)に田んぼも一緒に入れて逝ってくれや”と言われた」という話もありました。
TPPへの参加は、こんなに危機的になっている地域農業を、さらにイジメ抜くもので、どうしても許せません。
今回、これだけの幅広い団体の共同ができた背景には、食健連で毎年取り組んでいるグリーンウエーブでいろいろな団体に訪問していることが大きな力になっていると思います。最初は冷たくあしらわれても、あきらめずに機会を見つけては何度も足を運んで、議論を深める努力を続けてきました。こうした無数の小さな積み重ねが、TPP参加阻止の共闘につながったと思います。
結局、TPPは関税を撤廃することが前提になります。関税撤廃となれば、生産調整もなくしていくことになりますし、国際価格並みに国内の農産物価格を下げるとなると、農家の所得補償も必要になってきますが、そのための財政の見通しもはっきりしていません。
大規模経営の農家にだけ支援すればよいという意見もありますが、輸入自由化したら大規模経営であってもどれほどの農家が残れるのか。所得補償といっても、ある意味では米が「売れる」こと、「作っている」ことが前提ですから、農家をやめてしまったら補償されなくなってしまいます。また一部の経営体が生き残ったとしても、日本の米供給が安定的にできることにはならないと思います。
グローバリゼーションのなかで、日本の農業・食料をどう対応させていくのか。ISD条項もあるようにTPPは選択の余地なしですが、国家の根幹にかかわる問題については、自ら選択できる余地を残しておくことが重要だと思います。
貿易論は私の専門分野ではありませんが、ことTPPに関してはすべてがわかっていなければ発言してはいけない、という問題ではないと思っています。わかった部分だけでも情報発信をして、地域の方々に判断をしてもらうことが必要だと思いますし、話をしていきたいと思っています。
[2013年1月]
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