牛丼店 吉野家
不安広がる
アメリカ産米使い始めた
疑惑のアメリカ産牛肉と合わせて提供
吉野家ホールディングスは、牛丼店「吉野家」の一部の店で、アメリカ産米を国産米に混ぜて使い始めたことを明らかにしました。折しも、アメリカでは米から発がん物質であるヒ素が検出されました。しかも、アメリカでは4月にBSE感染牛が発見されたばかり。アメリカ産牛肉輸入の月齢が20カ月齢以下から30カ月齢以下に緩和されようとしているなか、消費者からは「食の安全上、疑惑のあるアメリカ産牛肉に加えて、米までもアメリカ産とは」と不安の声があがっています。
米の産地聞くもあいまいな答え
都内「吉野家」のある店舗で。米の原産地を確かめようと、メニューを手にしたところ、産地の表示はなく、メニューの下の方に小さく「店員におたずねください」と記載されていました。
2011年7月から実施されている米トレーサビリティ法により、外食店で米の産地を伝達する際に、(1)メニューに記載する(2)店内に掲示する(3)店内に産地を知ることができる方法を掲示する―ことが義務づけられています。そこで、店員に聞いてみると、3、4人にたらい回しにされた揚げ句、「国産だと思います」と、米トレサ法上問題のある返事でした。
アメリカ産米の使用について、広報担当に電話で問い合わせたところ、「今回は、国内126店舗で実験的に使っている。アメリカに店舗を構えて以来40年近く、アメリカでは使ってきた。米はカリフォルニア産中粒種のカルローズ。原材料価格の高騰もあるが、アメリカ産米は、タレの通りがよいなど牛丼に適している」とのこと。
試食してみようと、使用している店舗名を聞きましたが、「教えられない」の一点張り。産地の表示については、「リーフレットなどを作製したこともあったが、客からの問い合わせもほとんどなく、無駄になってしまった」と、「原産地表示などどうでもいい」と言わんばかりでした。
米本国でヒ素を検出 大問題に
アメリカでは9月中旬、国内で生産された米や米製品からヒ素が検出されたことが明らかになりました。アメリカの消費者団体誌『コンシューマー・リポート』によれば、60種類以上の米製品を調査したところ、製品の多くに比較的高い濃度のヒ素を含んでいることがわかり、国内では大問題になっています。
このため、韓国政府は一時、アメリカ産米の販売と輸入米の入札をストップしました。これに対し、日本政府は何らの対策もとらず、吉野家のような原産地表示違反の横行を許しているのです。
ヒ素発覚後の9月25日に実施した主食用米輸入の入札でもアメリカ産米は3割近くを占めました。それが今後、外食店などに出回ることになります。輸入野放しで、国民の食の安全・安心が守られるのでしょうか。
また、原材料高騰などにより、外食店は、中国産米やアメリカ産米など外国産米を使う動きがでています。
(新聞「農民」2012.10.29付)
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