東電
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「原発もTPPもいらない」―東電本社前で抗議する福島の農民たち |
福島から、浜通り農民連の渡部チイ子さん、郡山農民連の宗像孝さん、須賀川農民連の丹治実さんが、被災地の痛切な思いを発言。渡部さんは、「政府は、ガスも水道もまだ復旧していないのに、避難地域を解除し、賠償をせばめようとしている。現状を無視した線引きは、絶対に許せない」と気迫を込めて訴えました。丹治さんは、「1年たったが、何も変わってない。原発事故が離農に追い打ちをかけている。風評被害が深刻で、キュウリが5キロで700〜800円でしか売れず、農家の手取りは200円程度にしかならない。これでは生活できない。東電に言いたい。もとの福島を返せ!」と、怒りをぶつけました。
また、全国食健連から全日本教職員組合の北村佳久委員長が、また原発なくす全国連絡会から自由法曹団の泉澤章事務局長が連帯あいさつ。
最後に東京電力本社に向かって、「東電は加害者責任を果たせ!」「全面的に賠償しろ!」と、力強くシュプレヒコールしました。
昨年、出荷自粛となったあんぽ柿の生産者は、「たとえ基準値以下でも消費者の目は厳しく、もうあんぽ柿生産に希望をもてない。品目転換するために賠償金を5年分前払いしてほしい」と要求すると、東京電力は「また出荷自粛になるような場合は賠償する。しかし今後5年間、基準値を超える放射性物質が検出され続けるとは限らず、賠償すべき“相当因果関係”があるとは認められない」と回答。「それは“セシウムが出たら賠償するから、希望がなくても作りなさい”ということか。東電は、農家の希望を奪ったことをわかっているのか」という激しい怒りの声が飛びました。
米の出荷が「事前出荷制限地域」と「出荷制限地域」に入っている伊達市霊山町の稲作農家は、「昨年、風評被害などを懸念して作付けを断念した生産者8人が賠償請求したが、同じ地域内だというのに3人だけが支払われ、5人が拒否されている。明確な理由を説明し、全員に賠償するべきだ」と求めました。しかし東電は「原子力損害賠償紛争審査会の中間指針では作付けを断念した理由が“やむを得なかった”場合に賠償するとなっており、“やむを得なかった”という検討が必要」などと、あいまいな回答に終始しました。
また、南相馬市小高区の警戒区域内の園芸農家からは、「数万鉢の出荷直前のシクラメンを残して避難したが、賠償請求したところ財物扱いとされ、賠償が先延ばしにされている」という訴えがあがりました。これには東電も「シクラメンがなぜ財物扱いなのか…。ほ場廃棄になった葉物と同様に賠償できるのではないか。社内で検討する」と、約束しました。
農民連はこのほか、さくらんぼのビニールなど、土にじかに接しないものも含めて、すべての被覆資材の取り替え費用を賠償するよう要求しました。(政府交渉は2面に)
[2012年9月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
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