「農民」記事データベース20120917-1037-01

海外や全国から仲間迎え交流 山形

青年が希望となり地域を支える力に

農民連青年部夏の学習交流会
ビア・カンペシーナ東南・東アジア地域青年国際会議

関連/参加者の感想

 「ビア・カンペシーナ、ビバ!」――。山形・置賜(おきたま)の地で青年農業者たちの声がこだましました。農民連青年部の夏の学習交流会と、国際的農民組織、ビア・カンペシーナ(LVC)東南・東アジア地域青年国際会議が9月1日から4日まで、南陽市で開かれ、8カ国の海外代表19人のほか、非農家の青年を含む約70人が集いました。


学び、伝え、仲間を広げよう

 経験や夢語り農業を深めよう

 1日午後から2日午前までは、農民連青年部の学習交流会。杵塚歩部長が「いま農業が注目され、未来をつくる中心に若い農業者がいます。海外や全国から仲間を迎えて交流し、つながって地域の農業を盛り上げていきましょう」と開会あいさつをしました。

 開催地から2人が歓迎のあいさつ。山形県農民連、なかでも置賜農民連青年部は、交流会と国際会議の運営、進行を支え、成功に大きく貢献してくれました。山形県農民連の小林茂樹副会長は「農業を支える青年たちが経験や夢を語り合って、世界と日本の農業の方向性を深めてほしい」と期待を寄せました。

 県農民連青年部の新関拓也部長は「田んぼの生きもの調査などをきっかけに、生物をはぐくむ農業のあり方を一緒に考えましょう」とあいさつしました。

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ビア・カンペシーナ、ビバ!!

 視野を広げてたたかい大きく

 LVC国際調整委員のユン・グンスンさん(韓国)が、LVCの組織と活動に青年が大きな役割を果たし、影響を与えていることを紹介。「交流会で情報と意見を交換し、視野を広げてたたかいを組織しながら世界を変えよう」と訴えました。

 LVC東南・東アジア地域青年国際調整委員の2人が報告。アーマド・ヤコブさん(インドネシア)は、同地域の青年の取り組みを振り返りながら、「被災地の福島をみて、震災は家をなくすだけでなく、コミュニティーを破壊してしまうことに大きなショックを受けました。青年が希望となり、農村地域を支える力になろう」と呼びかけました。

 キムファン・キュンサンさん(韓国)は、韓国女性農民会(KWPA)の環境保全型農業の取り組みを紹介。食糧主権を広げるために、(1)農家と消費者との交流を深めるシスターズ・ガーデン(2)在来種子を守る活動―の2つの取り組みを報告しました。

 また、環境保全型農業を進めるにあたっての課題として、(1)消費者への理解をどう広げるか(2)病害虫をどう減らすのか(3)新自由主義のシステムからどう脱却するのか―の3つをあげました。

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報告者に質問する海外代表

 多くの農家で生きもの調査を

 山形県農民連青年部の渡沢寿事務局長は、「田んぼの生きもの調査」について報告。「田んぼやその周辺の生物の数や種類を調べて、田んぼに豊かな自然が残っていることを消費者に理解してもらい、米作りを続ける意味を考えてもらう取り組みです。調査を実践する農家を育てていきたい」と述べ、パワーポイントを使いながら、田んぼに生息する生物を紹介しました。

 参加者は、ほ場に移動し、生きもの調査を実践。夜は、ウェルカム・レセプションで交流し、地場産品を味わいました。

 TPP反対の力食糧主権の確立

 2日の午前中は、パネルディスカッションを行い、海外から2人、日本から3人がそれぞれの国・地域の取り組みを報告しました。

 農民連の吉川利明事務局次長が、海外代表に対して、東日本大震災への物心両面にわたる支援に感謝の言葉を述べるとともに、FTA・TPP参加反対の運動を進めるうえで、食糧主権の確立が大きな意義をもっている点を強調しました。

 最後に、青年部の岩渕望さんが「学習と交流の成果を各国・各地域に持ち帰って、多くの若者に働きかけましょう」と呼びかけました。

 (田んぼの生きもの調査、ウェルカム・レセプション、パネルディスカッションの詳報は、4、5面。ビア・カンペシーナ東南・東アジア地域青年国際会議のもようは次号でお伝えします)


参加者の感想

 力強さや将来へ希望を感じた

 どの参加者も積極的で青年部の力強さと将来への希望を感じました。歓迎レセプションでは、伝統的な文化や、さまざまな食べものにふれることができ、楽しむことができました。福島は思った以上にひどく、復興には時間がかかると思いました。日本のみなさんの歓待に感謝します。(ユン・グンスンさん)

 周りを支えつつ楽しく農業続け

 パネルディスカッションを聞いて、環境に負荷をかけない農業を続けていくためには、消費者とのつながりが必要だとわかりました。

 農産物を生産するという熱い情熱を持ちながら、農家が周りを支えつつ、楽しく農業をしていくことが大事だと思いました。(和歌山県農民連青年部部長・井上達也さん)

(新聞「農民」2012.9.17付)
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2012年9月

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