消費税増税法案の
採択強行に抗議する
2012年6月27日 農民連会長 白石 淳一
関連/許せん! 消費税増税法案の強行採決
一、6月26日、民主、自民、公明などが「社会保障と税の一体改革法案修正案」(消費税増税法案を含む)と「社会保障推進基本法」などの関連法案を衆院本会議で強行採決した。国民世論にそむき、選挙公約を投げ捨てた「法案」の強行には一遍の道理も大義もない。農民連は、強く抗議するとともに、参議院段階で廃案に追い込むために全力をあげる決意である。
一、国会審議を通して「社会保障と税の一体改革法案」は、消費税増税と社会保障の切り捨てによって国民に13・5兆円もの新たな負担を強いるものであり、暮らしと営業を破壊し、経済と財政に重大な影響をもたらすものであることが明らかになった。
税率5%の今でさえ、暮らしと経営に重大な打撃を受けている農家にとっての最大の問題は、増税によって経費に課税される消費税を価格に転嫁することがいっそう困難になることである。
こうした問題点が明らかになるにつれて、消費税増税に反対する世論は6割に及び、今国会で採択することには7割が反対している。こうした世論に押されて「法案」は重大な困難に直面し、民主党内に分裂含みの重大な混乱をもたらした。こうした野田内閣に助け舟を出したのは自民党と公明党であった。
3党による密室での“増税談合”による「修正合意」は、「社会保障と税の一体改革」というニセの看板さえかなぐり捨てて、国民に消費税増税を押し付けるだけにとどまらず、「社会保障推進基本法」によって福祉に大ナタを振り、憲法25条に基づく福祉の理念や、国の責任を放棄する最悪のものである。
しかも、3党の密室談合による「社会保障と税の一体改革法案修正案」や、新法である「社会保障推進基本法」の国会審議は、わずか2日半であり、まともな審議もせず採択を強行したことは、国会を否定するファッショ的暴挙であり、断じて容認できない。
一、民主、自民、公明による「法案」の強行は、09年夏に国民が託した「政治を変えたい」という願いを根底から裏切り、「2大政党制」の破たんを明瞭にした。「法案」を推進した政党は国民の支持を失い、今後、重大な困難に直面することは避けられない。
解散・総選挙の可能性を含んだ緊迫した政治状況が生まれているもとで、新しい政治の流れへの国民的な模索と探求が、いよいよ加速せざるをえない。
一、たたかいの舞台は参議院に移った。農民連は、消費税増税と社会保障の全面的な切り捨てを内容とする「法案」の本質を暴露するとともに、「消費税増税反対」の一点での共同を草の根から広げ、「法案」を必ず廃案にするために全力をあげる決意である。
同時に、消費税増税も原発再稼働も、TPP参加も、財界本位の政治という点で根っこはひとつであり、これらの課題と結んだたたかいに全力をあげるものである。
(新聞「農民」2012.7.9付)
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