リオ+20 国連持続可能な開発会議
齋藤敏之さんのリポート
5月29日から31日、ビア・カンペシーナは、インドネシアのジャカルタで「アジア社会運動戦略会議」を開き、「リオ+20へのアジア共通のポジション」の作成と、行動計画、その計画をすすめるための組織のあり方などを話しあいました。農民連からは常任委員の齋藤敏之さんと国際部の武田伸也さんが参加しました。
ビア・カンペシーナアジア地域
自然に値段をつけるな!
“リオ+20”に向けて戦略会議開く
原発とかさなるアグロ燃料生産
いま、「環境保全」を装ったさまざまな資金が「グリーンエコノミー」としてアジア各地に流れ込んでいます。インドネシアの農民は、インドネシア政府が海外の投機企業と共同で、森林を伐採し、パーム油のプランテーションを建設。これに対する反対運動と現状を報告しました。この農民は、「いま資本主義が、自然にどんな影響を与えているか、一般の人々はほとんど知らない。企業が計算する自然の評価には、農民が積み上げてきたコストは含まれていない。農地を勝手に評価するな」と力を込めて発言していました。
こうした手法は、戦後日本の高度経済成長期、若い労働力を都市に奪われ過疎化した地域に、「札束でほおをたたきながら」、ウソの「安全神話」をふりまき、原発立地をすすめてきた日本の政府・財界の手法と重なるものがありました。
その日本政府は、昨年8月、原発輸出戦略の継続を閣議決定し、野田首相も昨年9月、原子力安全および核セキュリティーに関する国連ハイレベル会合で原発を売り込むスピーチをしています。
人類史上最悪の原発事故を起こし、その原因が未解明のまま、原発を「地球温暖化対策」として世界中に売り込む日本政府のこうした姿勢は、あまりにも無責任と言わざるを得ません。
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ビア・カンペシーナ「アジア社会運動戦略会議」の参加者たち |
「リオ+20」への声明を発表
今回の会議では、持続可能な地球環境よりも、自らの利益を優先する多国籍企業の横暴を許す資本主義システムそのものへの疑問も出され、討論の末、「未来のためにたたかおう! 自然に値段をつけるな!」と題する「リオ+20」に向けた声明が出されました。アジアには多国籍企業とたたかう多くの運動組織があり、この声明は「もう一つの新しいアジアをめざす」探究のなかから練り上げられたものです。
日本でも「TPP反対」の一点で画期的な共同が広がり、新しい運動の芽が育ち始めています。ラテンアメリカでも「食糧主権」を発展させ、「主権を伴った食糧安全保障の確立」という議論が起こっているとの報告がありました。日本でもこうした国内外で広がる新しい動きに対応できるような農民連の組織強化が求められていると強く感じた会議でした。
(新聞「農民」2012.6.25付)
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