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東電は早く賠償せよ!
畜産農家を救え!(1/2)

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原子力損害賠償紛争審査会
「中間指針」まとめる

牛肉の「風評被害」は「賠償すべきだ」

 東京電力の福島原発事故の賠償範囲を話し合う「原子力損害賠償紛争審査会(以下、審査会)」が8月5日、「中間指針」をとりまとめました。

 審査会は当初、7月末に中間指針を出す予定でしたが、牛肉と稲ワラのセシウム汚染の広がりを受けて指針策定を延長。農水省から状況報告を受け、議論を行いました。

 「中間指針」では、出荷制限となった福島、宮城、栃木、岩手のほか、汚染稲ワラの流通が確認された13道県で生産された牛肉とその加工品のいわゆる「風評被害」を、「賠償すべき損害」と認定。「備考」で、「今後もこれらの道県と同じ様な状況が確認された場合も、同様の損害として扱われるべきである」旨が書き添えられました。

 しかし審査会では、セシウム汚染による牛肉の価格暴落への影響に対して、「原因は一つだけではない(原発事故のせいだけではない)」、「国や行政の指導の不徹底もあるのではないか」として、「東京電力の責任を、一部割り引いてもよいのではないか」という発言をした委員もいました。

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 こうした議論を経てまとめられた「中間指針」に、まがりなりにも牛肉の「風評被害」の賠償義務が明記され、また「指針に盛り込まれなかったものも、損害と認められることがありうる」と明記されたことは、今回の原発事故被害の深刻さ、広範さを示すものとして注目されるところです。

 払い渋り根深い東京電力の姿勢

 しかし東京電力は、宮城農民連が東京電力の担当者を呼んで7月20日に開いた説明会の席上で、「汚染牛肉は東電の責任ではない」と居直り、あたかも農家の手落ち、農水省の指導不徹底が原因であるかのような発言をしています。このことに見られるように、東京電力の払い渋りの姿勢は根深いものがあります。

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「モー! 原発はいらない」―牛も稲ワラも東電に抗議(8月3日)

 「中間指針」には、牛肉に関する部分だけでなく、多くの分野や項目で、東京電力が「指針があいまいだから、賠償しない」と居直る材料に使いそうな表現がちりばめられており、実際の賠償交渉は予断を許さない厳しいものとなることが予想されます。

(新聞「農民」2011.8.15付)
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2011年8月

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