「農民」記事データベース20110516-972-01

もはや生活はギリギリだ!!
一刻も早く賠償を仮払いせよ

東電は原発事故を収束させ全面的に償え

 「もう生活できね。すぐに仮払いしろ!」「汚した農地、ふるさとをすぐ返せ!」「家畜を見殺しにはでぎねぞ!」―4月26日、東京・千代田区の東京電力本社前には、バス3台に乗り込み160人で駆けつけた福島や茨城、千葉など各地の農民をはじめ、労働組合や消費者団体などから400人以上が集まりました。そして、「モ〜、許せん!」と千葉・福島からトラックで連れてきた2頭の牛のほか、ムシロ旗やプラカードを掲げ、出荷停止になったキャベツやホウレンソウを手に怒りをぶつけ、一日も早い原発事故の収束と全面的な損害賠償、早期の仮払いを求めました。

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樽川さんの畑で作った野菜と、斉藤さんがしぼった牛乳を積んで東電本社に要請


本社前 怒りの抗議行動

 原発事故責任東電と政府に

 「4・26東電は全面的に償え! 抗議・賠償請求行動」を主催したのは農民連と全国食健連(国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会)。多くのマスコミが殺到し騒然とした雰囲気のなか、東電本社前の抗議行動では、農民連の白石淳一会長が「原発事故の責任は、東電と『安全神話』を振りまいてきた歴代内閣にあることは明白だ。全面的な賠償を勝ち取るまでがんばろう」と訴えました。また各団体の代表が、東電本社に向かって怒りをぶつけました。(2面に関連記事)

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東電本社に向かって怒りの声をあげる農民たち

 原乳投げている気持ちわかるか

 要請代表団が東電本社に入り、清水正孝社長あてに「放射能漏れを原因としたあらゆる損害に対し、仮払いを含めたすみやかな賠償を行うこと。放射能汚染された農地の除染を責任を持って実施すること」など、4項目の要請書を手渡しました。

 計画的避難区域に指定された飯舘村の畜産農家、志賀正男さんは「どうやって人や牛を移動させるのか。いつ補償するのか。答えを聞くまで帰れね!」と問い詰めました。須賀川市の野菜農家、樽川美津代さんは、自ら命を絶った夫の遺影を抱きしめて「とうさんは東電に抗議したんです。一日も早く原発を止めてください。どうか私たちを助けてください」と涙を流して訴えました。川俣町の酪農家、斉藤憲男さんは「原乳を出荷しても乳業メーカーは福島産だということで投げ(捨て)ている。東電から『安全だから投げるな』と言ってくれ。この気持ち、あんたらわがってんのが!」

 しかし、対応した東電の被災者支援対策本部の橘田昌哉部長は、終始頭をさげ続け、「国の支援を受け、損害賠償制度にもとづいて対応させていただく」の一点張り。参加者から「明日からどうやって生活すんの!」「1日も早く仮払いしろ」「責任者を出せ」など、何度も怒りの声があがりました。

全面補償かちとるまで第2波・第3波の行動を

 この行動を機に共同の輪大きく

 会場を参院議員会館に移し、300人近くが参加する緊張した雰囲気の中で、鹿野道彦農相あてに「全面的な損害賠償のすみやかな実施と大震災を踏まえた米政策の抜本的見直し」を求めて、農水省の担当課長らと交渉しました。(詳しくは2面)

 その後の「損害賠償と補償を要求する決起集会」には、主催者側がすべての政党に参加を要請したにもかかわらず、出席したのは日本共産党の志位和夫委員長(衆院議員)だけ。

 福島県農民連の根本敬事務局長と樽川美津代さんが東電本社との交渉の様子を報告。樽川さんの発言(2面)は、参加者の涙を誘いました。

 志位委員長は、緊急要求として、(1)原発事故が「人災」だと東電と政府にはっきり認めさせる、(2)「線引き」を許さずあらゆる被害と損害に全面補償を約束させる、(3)現に生じている被害・損害にただちに仮払いを行わせることをあげ、「最後までともにがんばろう」と参加者を激励しました。

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左から共産党の志位さん、福島県連の根本さん・樽川さん、農民連会長の白石さん

 最後に、農民連の笹渡義夫事務局長は「このたたかいは農民だけでなく、被災したすべての国民のたたかいだ。今日の行動を出発点にたたかいの共同を広げ、全面補償を勝ち取るまで第2波・第3波の“怒りと要求”を、東電と政府に突きつけていこう」と呼びかけました。

(新聞「農民」2011.5.16付)
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2011年5月

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