「農民」記事データベース20101018-945-06

農商工と消費者が手を結び
地域の活性化と農業の再生を

神奈川農問研など シンポジウム開く


 神奈川農業問題研究会と神奈川自治体問題研究所は9月19日、相模原市の相模女子大学で「『農商工連携』を知り、発展させるシンポジウム」を開き、生産者、消費者、学生ら約100人が集まりました。

 開会あいさつに立った神奈川農問研の小川政則さんは「地域をいっそう元気にするために、今回のシンポで学んだことを生かし、食と農の再生にお互いがんばりましょう」と呼びかけました。

 相模原市の旧津久井町地域で作り続けられてきた津久井在来大豆。緑区の農家、石井好一さんは、8年前に栽培を始めた在来大豆が各所でのPRを通して県内各地に広がり、加工品としても充実してきた経緯を紹介。「多くの人と連携しながら、農業への理解と大切さを知ってもらい、多方面から協力・支援を得られるようがんばりたい」と述べました。

 相模原市の老舗酒店「豊国屋」の岡本政広さんは、津久井在来大豆を納豆、きな粉、しょうゆ、いり豆など加工品として商品化し、ブランド化と地域活性化に貢献している事例を報告しました。

 神奈川県立相原高校畜産部では、安全で安心、高品質な牛肉を生産し、地域に届けることを目標に、飼料からこだわった牛の肥育を続けています。教諭の登健太さんは、生徒が丹精込めて育てた牛を、地域の人たちに提供しようと新宿中村屋と連携して「相原牛カリー」の開発に取り組み、無農薬栽培の野菜を使った「インド風ビーフ」と、さわやかな甘みが特徴の「野菜たっぷりキーマ」を商品として販売していることを紹介しました。同校の生徒2人も、商品開発や野菜栽培の苦労や喜びを語りました。

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「相原牛カリー」開発の苦労と喜びを報告した相原高校の生徒たち

 「高座豚手作りハムの会」の松井正敏さんは「都市畜産のバックグラウンドを作り、県央の名産品を作ろう」と会を設立し、おいしい製品づくりの研究や安全・安心に対する取り組みを報告。「三浦市郷土漬け物研究会」の川島勝徳さんは、地域産業振興のために、市の野菜専業農家が浅漬けたくわんの加工販売を始めた経緯を語りました。

 神奈川県環境農政部の遠藤創さんと相模原市環境経済部の菅谷一夫さんは、県と市の農商工連携と農政振興の施策を述べました。

 最後に神奈川自治体問題研究所の大嶋茂男さんは「農商工の連携を通じて、消費者が生産者を信頼し、生産者が消費者に責任をもつ関係を構築することが、食べ物を柱にした地域循環の流れです。今後も議論を重ね政策提言などに結びつけよう」と閉会あいさつを行いました。


 訂正 10月11日付「本の紹介」の記事で、筆者は「武蔵大学教授」の誤りでした。おわびして訂正します。

(新聞「農民」2010.10.18付)
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2010年10月

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