ものづくりも仲間づくりも
若人の出番だ(1/2)
山形おきたま産直センター青年部
山形県置賜(おきたま)地方は、古くから農業が盛んなところ。ここで、環境に配慮した農業に取り組んでいるのが、山形おきたま産直センター。親の跡をついでがんばる青年たちに話を聞きました。
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置賜農業高校の生徒たち(前列)と青年部のスタッフで記念写真 |
30年酪農やっている
両親はやっぱりすごい
後藤 俊裕さん(25)
酪農(搾乳牛40頭)、米
大学で畜産を学び、さらに別の農場で1年研修して、実家で就農して3年目です。高校時代は農業を継ごうとは思っていませんでした。悩みながら大学では畜産を専攻したのですが、父親がケガをして、あまり無理もさせられないなという気持ちになりました。
今は毎朝5時に起きて、給餌(じ)や搾乳などの作業を始めます。朝起きるのも早いし、肉体労働だし、慣れるまではやっぱりたいへんでしたが、今はつらくなくなりました。子牛の世話も担当しているのですが、子牛は下痢しやすいので、丈夫に育てるのがとても難しく、そこが楽しいと同時に苦労しているところです。わが家は、ここで生まれた子牛を育てて搾乳牛にしているので、しっかりした後継牛に育てたいと思っています。
夏は暑さ対策がたいへんです。毎日世話していても、同じ日はありません。両親とはケンカもしますが、30年も酪農を続けている両親はやっぱりすごい。いろいろ言っても頭が上がりません。
産直センターの青年部は、耕種は違っても、同年代の若い人と話せて楽しいです。心の支え、かな。
高橋 哲郎さん(28)
果樹(1.5ヘクタール)、米
小さいころからずっと農作業を手伝ってきて、気が付いたら仕事にしていたという感じで、就農して9年目です。
就農してから、隣の果樹園をわが家が引き継いだりして、農作業の量がどんどん増えて、追われています。田んぼの作業は機械化できても果樹は基本的に手作業ですから。今年の天候は、春が遅くて開花が10日も遅れたので、農作業が詰まってたいへんです。果物は工業製品と違って、同じ畑で同じように作っていても、毎年、気候が違うから、同じものは決してできません。毎日が勉強です。
農作業のなかで一番難しいのは剪(せん)定作業ですが、大先輩の農家に教わった時に、「オレも1年に1回しか切っていない」と言われたのが印象的でした。農業は本当にいつまでも勉強だなあ、と思っています。
でも集落では高齢化が深刻で、あと10年もしたらどうなるかと、危機感を持っています。わが家もこれ以上、面積を増やすこともできないし、40〜50代のどの農家も今すでに精いっぱい作っている状態で、地域の担い手不足は深刻です。国や自治体は、もっと新規就農支援に万全の態勢で臨んでほしい。現行の山形県の新規就農支援は1年限りで、実際には1年では農家としては自立できません。農家の子弟だけでなく、もっと広く農業外から担い手を受け入れて、定着しないと、農村は崩壊してしまいそうです。
(新聞「農民」2010.8.16付)
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