「農民」記事データベース20100628-930-01

民主党政権は―
米価下落対策、とる気なし!

7カ月連続の最安値更新

関連/“米の買い入れ”あくまで拒否

 農民連と畜全協(畜産農民全国協議会)、全国食健連(国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会)は6月11日、農水省前で集会を開くとともに、山田正彦農林水産大臣あてに、「備蓄米の買い入れを求める要請」と「口蹄疫(こうていえき)を一刻も早く根絶し、畜産農家・関連業者を救済するための要請」(2面)を緊急に行いました。


農民連・畜全協・食健連が農水省に要請

画像 備蓄米の買い入れを求める要請では、はじめに農民連の白石淳一会長が「米価は7カ月連続の下落で最安値を更新し、異常な低水準だ。このまま放置していいのか」と問題提起。農水省総合食料局の村井正親計画課長は「事実関係の問題として、米価は下落していることは認識している」と答えました。

 参加者は「米価の下落を招いたのは、2月に行った16万トンの備蓄米買い入れだ。時期が遅きに失したうえ、1万2800円台という異例の安値で買い入れたことが、市場に“米価先安”のシグナルを発信し、過剰感を広げたことになる。まさに政府による買いたたき、『優越的地位の乱用』だ」と指摘しました。

 さらに「農協系統組織も米卸業者も一致して、40万トン程度の過剰を指摘し、買い入れを求めている。米の需給が過剰のまま米戸別所得補償モデル事業を実施すれば、米価下落にさらに拍車をかけることになる」と追及しました。

 買い入れについて、農水省は一貫して拒否。今後の買い入れについては「9月末の作況をみて判断する」と答えたのにたいし、参加者は「こんな低米価では、農家はやっていけない。9月では遅い。ただちに買い入れを行え」と求めました。

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きびしく追及する農民連、食健連のメンバー

 1万2800円台という備蓄米の買い入れ価格について、「買いたたきではない」「算定根拠は後で示す」と交渉の場で約束した計画課長。しかし夕刻、同課から農民連本部にFAXで送られてきたのは、自由米の相場を報じた米業界紙のコピー1枚でした。これでは「需給のゆるみに乗じて買いたたいた」という批判を免れることはできません。

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農水省前でコブシをあげる


“米の買い入れ”あくまで拒否

大臣就任会見で山田農水相

 新しく農水大臣に就任した山田正彦氏は、6月9日の就任記者会見で「米の買い入れ」をあくまで拒否しました。

 記者 2009年産の米価は下がっているという認識をお持ちかどうか。なんらかの対策を考えているのか。

 山田新農相 米価がじりじり下がっていることは認識している。前年同期比94%のところだろう。在庫の数量も調べているが、今年、戸別所得補償で需給が締まってくれば、そんなに心配しなくてはいけないような状況ではないのではないか。今、米価が下がったから「じゃあ、コメを政府が買い入れよう」という気持ちは、今現在はありません。

 米戸別所得補償モデル事業(米モデル事業)は、米農家に10アールあたり全国一律に1万5000円(固定分)を交付するものですが、さらに基準販売価格を下回った場合には、その下落分(変動分)を補てんすることになっています。米価下落になんら対策を講ぜず、40万トンの過剰米を放置すれば、財政の面からも米モデル事業に重大な支障をきたすことが、JA全中の試算で明らかになっています。

 JA全中は、米価下落対策を講じなければ、今年産の米価は米モデル事業の標準的販売価格(1万3978円/60キロ)より2000円〜2500円下落すると想定。その結果、米モデル事業の変動分に要する財政負担額を約2000〜3000億円と試算。また、過剰米40万トンを買い上げるのに必要な経費は約850億円と試算しています。

 一方、農水省は、5月29日付の主要な地方新聞64紙に「戸別所得補償モデル対策の加入申請期限は6月30日まで」との“お知らせ”を載せるなど、加入申請件数を高めようと必死です。しかし、5月末現在の加入申請状況は約54万6000件で、目標の3分の1程度にとどまっています。加入申請が少なければ、山田新農相が言う「戸別所得補償で需給が締まる」という言い訳も、はかない夢と消えかねません。

(新聞「農民」2010.6.28付)
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2010年6月

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