口啼疫
政府は責任をもって
拡大防止と再建の補償を
食健連・農民連・畜全協が農水省に要請
特措法の基金の早期創設も要求
関連/移動制限が営農・生活を直撃
食健連と農民連、畜全協は6月11日、口蹄(こうてい)疫問題で、農水省に要請しました。
農民連・口蹄疫対策本部の村尻勝信事務局長は、「感染がさらに拡大している。原因は埋却の遅れだ。なぜもっと早く対処できないのか。国が埋却地の確保や人的支援に責任を持ち、一刻も早く埋却を終わらせなければ、宮崎県外にも拡大しかねない」と強く要求しました。農水省は「おっしゃる通りだ。埋却方法を変更するなど、鋭意進めていく」と回答しました。
また以前から強い要望の声があがっていた自衛隊の新田原(にゅうたばる)基地の土地を、埋却地とする件について、「その方向での検討・調整がかなり進んでいる」と回答しました。
各団体の代表から、「口蹄疫の影響が、家畜を失う畜産農家はもとより関連業者や農協、地域経済全体でも深刻になっている」と実情が述べられ、再建への補償を求めました。
また口蹄疫対策特措法で定められている基金の創設と運用についても、国が積極的に関与して、早期に創設するよう求めましたが、農水省は「まだ公表できる段階でない」と回答しました。
移動制限が営農・生活を直撃
とうとう都城市でも口蹄疫が発生し、感染が収束したえびの市を含めて、宮崎県では6月17日現在、5市6町に口蹄疫の感染が広がっています。
宮崎県農民連の組合員で、ワクチンの接種で殺処分となった農家は、高鍋町、西都市、日向市の11戸、都北農民組合で10キロ圏内の移動制限範囲に入ったのが12戸、20キロ圏内の搬出制限範囲には、大半の組合員が入ってしまう状況です。
移動制限区域では、道路や壁などに集落が共同して酢を散布したり、各農家では屋敷内、畜舎、家畜などに酢を散布して、懸命に消毒に取り組んでいます。しかし車や人の移動ができなくなっているために、「配合飼料などがいっさい配達されない。このまま長引けば足りなくなる」「畑にロールして置いてある自給飼料を取りに行けない」「畑の牧草が収穫できず、梅雨入りしてダメになってしまう」「たい肥の搬出ができず、衛生上問題」「獣医さんに往診してもらえない」「出荷できず、畜舎が足りなくなる」などの弊害が出ています。
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宮崎市と都農郡を結ぶ国道10号線での車両消毒 |
また組合員のなかには、畜舎の敷料を供給するオガクズ業、削蹄師、人工授精師、へい獣処理業などを兼業している人もいますが、収入がなくなり、たいへんな状況です。
口蹄疫の被害を受けた農家には「生活・経営資金」(現在は有利子ですが6月議会で利子補給が議論される見込み)が貸し付けられますが、制度の存在を知らない農家も多く、「生活費に困って、建物更生共済を取り崩した」「貯金がなくなったら、生命保険を解約しようと思っている」などという人もいます。農民組合では、制度があることを一人でも多くの農家に知らせようと、相談に乗って励ましています。
「同じ畜産農家が困っているのだから、助け合いだ」と、都北農民組合では、義援金にも取り組んでいます。
(宮崎・都北農民組合 有田枝梨子)
(新聞「農民」2010.6.28付)
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